南アフリカで1991年まで続いた悪名高きアパルトヘイト(人種隔離)には「名誉白人」があった。黄色人種なのに白人の仲間に入ったのは、経済力のある日本人

▼ほぼ同じころ、担当した県警のある部署では、若い警察官がいても親世代の事務職の女性がお茶を出してくれた。そのたびに成り上がりの「名誉男性」だなと憂鬱(ゆううつ)になり、慣れなかった

▼女性閣僚のダブル辞任劇を見て、ふとその4文字が浮かんだ。清新な印象の小渕優子さんは、バス二十数台で支持者約1千人が上京する観劇会を催したり、資金管理団体が政治資金でベビー服や特産のネギを買ったりしていた

▼松島みどりさんは、どう見ても似顔絵のある柄付きうちわなのに「討議資料」だと言い張った。法秩序の維持をつかさどる法務相が公職選挙法に触れる可能性があるのに詭弁(きべん)を弄(ろう)した

▼ほかにも高市早苗総務相がナチス・ドイツの象徴「かぎ十字」を掲げる極右団体代表と、山谷えり子国家公安委員長は「在日特権を許さない市民の会(在特会)」関係者と写真に納まり、物議をかもした

▼どれもこれも古くさい政治体質がよみがえったような既視感がある。子育て中の女性たちも有望株だった小渕さんにはがっかりしたことだろう。「女性が輝く社会」をつくる政権の閣僚が「名誉男性」では務まらない。(与那嶺一枝)