「妊娠した」。弾む声で大学の同窓生から連絡があったのは1998年夏。しかし数カ月後、喜びの声は一変した

 ▼久しぶりに会う友人は「上司に『辞めてほしい』と言われた」とポツリ。男女雇用均等法成立から13年、全国展開する企業の沖縄支店で実際に起きたこと

 ▼妊娠・出産を理由に労働者を不当に扱うマタニティーハラスメント。そんな言葉がまだなかったころの出来事。だが実態はあった。友人は泣きながら退職した。これまでどれほどの女性がそんな悔し涙を流してきたことだろう

 ▼マタハラを違法とする初の判断を最高裁が示した(24日紙面)。1人の女性による、均等法を盾にした闘いがようやく実を結んだ。雇用者は、この成果を全ての女性に届ける責任がある

 ▼26年前、法に力を与えた女性は沖縄にもいた。バスガイドの35歳定年の違法性を訴えた城間佐智子さん。昨年定年を迎えた彼女は、和解までの闘いは決して楽ではなかったと振り返る。「悔しくて、ひとり月を眺めながら泣くことがありました」(2012年9月5日紙面)

 ▼今月21日には新たに1人の女性が立ち上がった。厚生労働省の女性係長が昇格差別を受けたとして東京地裁に提訴した。この国の男女平等は、女性が満身創痍(まんしんそうい)で闘わなければ手に入らない現状がある。変えなければ。(黒島美奈子)