【沖縄発JICAボランティア 儀保 貴一郎】

カルチャーアソシエーションのメンバーとタイコを楽しむ儀保さん(左)=ナンプラ市

 モザンビーク共和国 面積79万9000平方キロメートル。人口2392万人、首都はマプト。主要産業は農林、漁業、鉱工業。1人当たりの国民総所得(GNI)は470ドル(2011年・世銀)

カルチャーアソシエーションのメンバーとタイコを楽しむ儀保さん(左)=ナンプラ市  モザンビーク共和国 面積79万9000平方キロメートル。人口2392万人、首都はマプト。主要産業は農林、漁業、鉱工業。1人当たりの国民総所得(GNI)は470ドル(2011年・世銀)

 モザンビークの週末は暇だ。娯楽がない。現地の人たちは、学校に通っているか、副業しているか、朝から酒を飲んでいる。せっかくなのでアフリカ文化に触れたいと思って街をうろうろしていると、あるカルチャーアソシエーション「Casa Velha(古い家)」を見つけた。

 モザンビークの文化といえば音楽だ。というよりも他の芸術芸能がなかなか見つからない。そして楽器はほぼタイコだけだ。音楽は皆大好きで、セレモニーや会議があると必ずタイコと何人かの踊り手が出てきて余興が始まる。Casa Velhaは、ローカル音楽を存続・普及させるという目的で主に青少年を対象に活動しているアソシエーションだ。こんな成り行きで、音楽なんて中学の授業以来だったがタイコを習い始めることになった。

 ある日Casa Velhaの皆にジャパニーズミュージックをみせようと思い三線を持って行った。先輩ボランティアが置いていってくれた三線があったのだ。彼らも一介のミュージシャンなので未知の楽器には興味津々だ。私なりに下手ながらもハイサイオジサンを披露してみると、演奏には興味はないが、楽器には触りたそうにうずうずしていたので渡してみた。

 すると手に取るなり自分なりに調弦して即興で弾き語りを始めた。タイコと合わせると、もともとモザンビークミュージックの一部ではないか思われるほどに自然だ。しかし、音色は三線。思いがけずモザンビークミュージックと三線の不思議なコラボレーションに遭遇することができた。タイコレッスンの時には私はいつもダメ出しされて怒られているので、この時くらいはいい顔してやろうとの思惑がないでもなかったのだが、さらに頭が上がらなくなった。そしてめちゃくちゃに調弦されたので後でちんだみ(調弦)するのが大変だった。

 素晴らしい音楽センスを持つミュージシャンらが集うこのCasa Velhaだが、実はアソシエーション解散の危機を抱えている。もともとスペインやスイスのファンドから支援を受けて設立し活動していたのだが、金融危機のおかげで一昨年から支援が止まっている。さらに今年になって、Casa Velhaの所在するその土地が政府軍の区域ということで立ち退き令を出された。立ち退料などは出ないらしい。と言っても突然追い出されるわけではなく、軍関係者のための居住区域にするらしく、Casa Velhaの“元”敷地内に軍人さんの家族がだんだん移り住み始めている。

 私もアソシエーション存続のために資金獲得などお手伝いできないかと試行錯誤しているが、なかなか難しい。しかしこんな状況でも彼らはいつも陽気にタイコを教えてくれる。帰国するまでに、今度は私の唐船ドーイで一緒にカチャーシーを踊ってもらうことがひそかな目標だ。

 ぎぼ きいちろう 首里高校、静岡大学農学部人間環境科学科卒業。卒業後、肥料メーカーに2年半勤務。研究開発、営業部に所属し実務経験を経て青年海外協力隊へ。2013年3月から15年3月までナンプラ州農業局(首都マプトから2千キロ)に配属。