那覇市牧志の沖映通りで25日、一箱古本市があった。素人店主たちがスーツケースや段ボールなど一箱分の本を持ち寄るフリーマーケット。9年前に東京の下町で始まり、全国に広まっている

 ▼好みの本や雑誌をきれいに飾り付けた店、子ども店長が切り盛りする絵本やコミックの店、沖縄が誇る郷土本の専門店など、個性派が並ぶ一日限りの古書店街。売り上げ目的ではなく、客とのやりとりを楽しむ雰囲気が祝祭的な空間をつくり出した

 ▼沖縄では3度目の開催。回を重ねるごとに認知度が高まってきた。買い物や散歩の途中で立ち寄る客も多い。本好きがこんなにいたのか、と驚かされるほどのにぎわいだった

 ▼開催場所はゆいレール美栄橋駅やジュンク堂那覇店の周辺。「書店の目の前で古本を売って大丈夫ですか」と心配する客もいた

 ▼だが、古本市の受付や景品の抽選を担当するのはジュンク堂の細井実人店長たちだ。商店街の一員として率先してイベントを盛り上げている。本好きの人々が集まることで、書店にも相乗効果があるという

 ▼この日、店頭の本をめぐって語り合う一日店主と客を多く見かけた。懐かしそうに思い出話をする人もいた。単なる物の売り買いでなく、誰かに手渡したいという思いが行き来する。1冊の本の重みをあらためて実感した。(田嶋正雄)