スペインを旅行した十数年前、ホテルでテレビをつけると日本のアニメを放映していた。茶の間で大人気のおなじみのキャラクターが、流ちょうなスペイン語で真剣に語り笑い、戦う様子は、何だか不思議で面白かった

 ▼日本のアニメは今や輸出産業の一つ。最近の子に人気の新作だけでなく、サザエさんやドラえもん、鉄腕アトムにゲゲゲの鬼太郎と2、3世代にわたり愛される、息の長い作品も多い。ほとんどは紙の中でしか動けぬ、漫画が原作だ

 ▼先日発表された秋の叙勲で、ボクシングをテーマにした「あしたのジョー」の作者・ちばてつやさんが文化功労者に選ばれた。過去の受章者には長谷川町子さん、赤塚不二夫さんら著名人が名を連ね、たかが漫画、とは言えぬ影響力の大きさを感じる

 ▼かつて「悪い本」とされていた漫画。だが豊かな発想や時事を風刺する鋭い視点、魅力的なストーリーに絵柄と、さまざまな要素を駆使し読者を引き込む。ちばさんも親に隠れて読み、描いてとりこになったという

 ▼「いい作品は日本中、世界中の子どもを楽しませるメガパワーがある」とちばさん。それは、いい年をした大人にとっても変わらない

 ▼事件事故、天変地異と心ふさぐニュースも多い。時には好きな漫画を読み返して、空想の世界で笑い遊んで頭と心をほぐしたい。(儀間多美子)