「5歳児は学童に通えなくなるの?」「幼稚園が終わったら、どこへ行けば…」

 来春、幼稚園に入園する5歳児の午後の居場所をめぐって頭を悩ませている保護者が多い。預け先が見つからず、母親が仕事を辞めざるを得ないといった悲痛な声も聞こえてくる。

 2015年4月にスタートする「子ども・子育て支援新制度」で、幼稚園児の学童保育(放課後児童クラブ)利用が認められなくなるという。地域の実情に応じた保育・教育サービスを提供しようと始まる制度なのに、「豊かな放課後」に黄信号がともる。

 沖縄タイムスが県内全市町村を対象に先月実施した調査で、学童を利用する公立幼稚園の5歳児は22市町村1337人。園児全体の11・3%を占めている。

 来年度も千人規模で学童を希望する園児がいるとみられ、5歳児保育の問題が再燃しそうだ。

 もともと学童保育は共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす場である。親が仕事などで「保育に欠ける」未就学児は、保育所というのが一般的だ。

 沖縄で幼稚園児の学童利用が「特例」として認められてきたのは、長らく米軍統治下に置かれたことによる保育政策の立ち遅れを背景とする。

 保育所設置が進まない中、5歳になると公立小学校に併設された幼稚園へ通うことが慣例化。今でも5歳児の幼稚園就園率は約8割で全国一高い。

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 新制度で本来の基準に立ち返り小学生のみが対象となるといわれても、幼稚園児の午後の居場所をどうするかは、子どもの育ちに関わる差し迫った問題である。

 本紙の調査では、幼稚園終了後、引き続き夕方まで預かる「預かり保育の拡充」や、保育所の5歳児保育の定員増などで対応すると答えた市町村が多かった。しかし取り組みには濃淡がある。

 そもそも預かり保育は「終了時間が午後6時と早い」「土曜日や春休みに利用できない」など使い勝手の悪さが指摘される。保護者の声に耳を傾けた思い切った拡充策が求められている。

 調査では学童、預かり保育に認可外保育施設の利用者を合わせた園児の数が全体の57%に上った。「保育に欠ける」状態にありながら幼稚園に通い、負担の重い「二重保育」を強いられる状況を考えると、保育所の5歳児枠の拡大も待ったなしの課題である。

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 沖縄の学童保育は幼稚園児の放課後支援が出発点だ。親たちが居場所づくりに奔走する一方、保育政策として5歳児問題への対応は後回しにされてきた。

 子どもが小学校入学後、放課後の預け先が見つからず、親が働き方の変更を迫られる問題を「小1の壁」と呼んでいる。沖縄では「幼稚園の壁」である。

 5歳児の保育保障は、各自治体が必死になって取り組む待機児童解消と同じく、子育て支援には欠かせない。政権が提唱する女性の活躍を後押しする政策でもある、という視点も忘れないでおきたい。