このごろの夜長の秋は、涼しいベランダに誘われ、北斗七星や月を眺める。昨日は、今年最初で最後かもしれない月下美人の開花と甘い香りに遭遇した

▼肥料はやらず、水やりや鉢替えもものぐさに放っておいたので、咲いたのは小ぶりの一輪だけ。身勝手にも、手を施さなくても咲かんとする野性味に感じ入った

▼わが家の月下美人と違い、農作物の多くは適正に肥料や水を与え、品種改良など人間の手を幾重にも加え、質や生産量を上げようとする。ところが、受粉で農業に貢献するミツバチはそうではないようだ

▼国連食糧農業機関(FAO)の研究チームは、人間が飼育するハチより、野生のハチの有効性を明らかにした。日本など世界約600カ所で得られたサクランボなど約40種の作物データでは、飼育ハチより野生ハチの受粉を媒介した場所の収量が2倍近く多かったという

▼ほかの研究とも合わせ、FAOは野生のハチの保護対策が急務だと指摘している。それもそのはずで、ハチの群れが突然いなくなる現象はことしも発生。原因は農薬のネオニコチノイドなどと指摘されて久しいのに、各国で生息状況の悪化が目立っているからだ

▼研究は、自然への畏怖につながるデータがまた一つ増えたことを意味する。われわれ人間は、小さなミツバチにも助けられて生きている。(与那嶺一枝)