沖縄県知事選挙がきょう告示される。米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を最大の争点に11月16日の投開票に向け、激しい選挙戦が展開される。

 復帰後、知事選は11回行われたが、今回の選挙は、沖縄の今後の方向を決定づける要素をはらんでいる。知事を選ぶ選挙であると同時に、望ましい将来像を有権者みずからが選択する機会でもある。

 これまでに立候補を表明しているのは、現職の仲井真弘多氏(75)、前那覇市長の翁長雄志氏(64)、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、前参院議員の喜納昌吉氏(66)の4氏。

 「基地問題」と「経済振興」を争点として、保革がぶつかり合うという従来の対決の構図は完全に崩れ去った。前回の選挙で仲井真知事を誕生させた翁長氏支持グループが抜ける形で分裂し、公明党県本が自主投票を決めたことで、自公の枠組みも事実上、崩れた。

 革新陣営は、従来のような独自候補を立てることができず翁長氏支持に回り、民主党県連は組織内部の混乱の末に自主投票となった。過去に例のない構図だ。なぜ、このような事態になったのか。

 その導火線となったのは、昨年12月の仲井真氏の埋め立て承認である。政府は知事承認を根拠に、地元の強い反対を押し切ってボーリング調査を強行した。知事選は仲井真氏の埋め立て承認の是非について判断するまたとない機会である。

 今回の知事選の特徴は、普天間の辺野古移設問題に対する4氏の主張の違いが鮮明であることだ。

 仲井真氏は「一日も早い普天間の危険性除去」を公約に掲げ、辺野古移設が具体的で現実的な方策だと主張する。前回と違って容認の立場を明確にした。

 翁長氏は「あらゆる手法を駆使して新基地は造らせない」との姿勢を打ち出した。埋め立て承認を検証し、取り消しや撤回を含め検討するとしている。

 下地氏は、移設の賛否を主張せず「当選後6カ月以内に県民投票を実施し、その結果に基づいて行動する」と主張し、有権者の判断に委ねる考えである。

 喜納氏は、埋め立て承認は「手続きに瑕疵(かし)があるため取り消す」と主張。暫定的な措置として嘉手納基地への移駐など一時的な県内移設を容認する考えを示す。

 基地問題については、有権者の関心も高い。沖縄タイムス社と琉球放送が25、26の両日実施した告示前情勢調査では、投票する際に何を一番重視するかとの問いに対し「基地問題」と回答した人が約4割と最も多く、「経済の活性化」(29%)、「教育・子育て支援」(13・2%)を上回った。

 辺野古移設は、まだ生まれていない将来世代をも拘束する極めて重要な課題だけに、有権者の判断が注目されるところだ。

 知事選では、今国会に推進法案が提出されているカジノ導入の是非も争点の一つである。4氏の主張は仲井真氏が「県民の合意が前提」、翁長氏が「悪影響が懸念され反対」、下地氏が「法が成立すれば考える」、喜納氏が「条件付きで賛成する」というものだ。それぞれの考え方を十分吟味したい。

 告示前情勢調査では、支持政党を持たない、いわゆる「無党派層」が6割に上っている。昨年来のごたごたが、有権者の政党不信を招いているのではないか。無党派層の動向や投票率が気になるところだ。

 知事選に関心があるかとの問いに対しては「大いに関心がある」と回答した人が59%で、「少しは関心がある」と答えた35%と合わせると94%に達し、関心の高さを示している。投票に行くかと尋ねたところ「必ず行く」と答えた人が79%、「できれば行きたい」とした人が17%で、積極的な投票行動につながる傾向を示している。

 気になるのは告示前から一部で候補予定者に対する誹謗(ひぼう)中傷や人格攻撃などのネガティブキャンペーンが見られることだ。候補者にはフェアな政策論争を貫いてもらいたい。