線維筋痛症は欧米で30年以上も前から注目されていました。日本では数年前から話題となり、最近、厚労省に認知され、保険診療が可能となりました。患者団体が結成され厚労省に働きかけました。専門医による研究班も結成され、データが集積されました。その後、初めて公式に「線維筋痛症」が認知されました。

 高齢化が進行しているわが国においても、腰痛等を含むいわゆる慢性疼痛(とうつう)患者は2千万人ともいわれます。その中でも特異な疼痛疾患が線維筋痛症です。

 最近注目を集めており、病因の解明や治療方法の確立は現在多くの症例をもとに模索的に進んでいる状況です。(1)広範囲にわたる疼痛が3カ月以上持続する(2)指を用いた触診で18カ所の圧痛点のうち11カ所以上に疼痛を認める-の2条件で診断されます。

 厚労省研究班の調査では、人口の1・66%に本症が存在し、推定では200万人以上の患者がおり、その80%を女性が占めていることがわかってきました。年齢分布では50代といわゆる働き盛りの女性に多いことが特徴的です。

 原因不明の全身の疼痛を主症状とし、不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性大腸症候群、過活動性膀胱(ぼうこう)炎などの自律神経系の症状を副症状とする病気です。ドライアイ・ドライマウス、逆流性食道炎などの粘膜系の障害が高頻度に合併します。

 疼痛は腱(けん)付着部や筋肉、関節などに及び、四肢から体全体に激しい痛みが拡散します。「灼熱(しゃくねつ)様の」「うずくような」「脈打つような」痛みと表現されます。発症要因は外傷・手術などの外的要因と、離婚・死別・解雇・経済的困窮など生活環境のストレスに伴う心因性の要因に大別されます。

 疼痛は長期にわたって持続し、回復が困難な慢性の難治性病態です。発症から1~2年は安定した状態で経過し、回復・軽快するとされていますが、それ以後の経過は必ずしもよくなく、徐々に進行します。診療体制についてもさまざまな症状があるため、それら諸症状に対応するリウマチ科、整形外科、精神科、心療内科、ペインクリニックなどの多岐にわたる病院を転々とする患者さんが多いのも特徴です。

 治療では一般的鎮痛剤は無効ですが、抗てんかん薬、抗うつ薬等を組み合わせ処方されます。重症度もさまざまで初期の軽症の方から、入院を要するほどの難治性の方もおられます。(大浦孝・おおうらクリニック)