第12回沖縄県知事選が告示された。前哨戦では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設への賛否が、最大の争点という傾向が明らかになってきた。辺野古移設をめぐる候補者4人の主張は明確に分かれており、有権者は投票行動で意思を示しやすい。選挙結果が日米両政府の基地政策に影響を与えることは確実だ。

 一方、1972年の復帰後、常に「保革対決」だった知事選が初めて保守系候補同士で争われる。県内の政治潮流の変化を象徴する意味もあり、歴史的な選挙戦になりそうだ。

 沖縄タイムスと琉球放送が実施した告示前の情勢調査では、投票で何を一番重視するかとの問いに「基地問題」と回答した人が約4割で最多。「経済の活性化」(29%)を上回った。

 沖縄では米軍基地問題が注目されがちだが、前回選挙の情勢調査では「経済の活性化」が49%で最も多く、「基地問題」(36%)は2番手だった。

 昨年末の仲井真弘多知事による埋め立て承認に、県内世論の賛否が割れた状況が続き、知事選の争点に直結している状況だ。

 辺野古移設を容認する現職の仲井真弘多氏が当選すれば、日米両政府は移設が民意の信任を得たと判断するのは確実で、反対運動は萎縮する可能性が高い。

 一方、移設に反対する翁長雄志氏、喜納昌吉氏が当選すれば、移設作業の停滞や頓挫も想定される。

 下地幹郎氏が当選した場合は、県民投票をめぐる動きが次の焦点となる。

 基地問題だけでなく、創設から3年目に入った沖縄振興一括交付金の制度運用、県が熱望する南北縦貫鉄軌道の構想など、沖縄の未来づくりが問われる。

 低迷する県民所得、学力の底上げ、子どもの貧困解消など、復帰以来の「負の遺産」をどう解消するか。候補者はこうした分野でビジョンを示す必要もある。

 県内政局では、知事選で保守系の翁長氏を支援し、独自候補を擁立できなかった革新政党の党勢への影響が注目点だ。

 純化路線を取る革新勢力内には翁長氏の擁立に批判的な意見がくすぶる一方、革新と保守・中道の液状化が進んでいる側面もあり、政界再編につながる可能性がある。

 県政連立与党でありながら仲井真氏への推薦を見送った公明党県本と、自民党県連との与党連携の行方も焦点となる。(選挙取材班・吉田央)