小渕優子前経済産業相の政治団体で発覚した不明朗な会計問題に、司直の手が入った。

 東京地検特捜部は、政治資金規正法違反容疑で元秘書の男性の自宅や、高崎市の後援会事務所を家宅捜索するとともに、元秘書が最近まで町長の職にあった役場を家宅捜索した。

 元秘書は、小渕氏の父・故小渕恵三元首相の時代から親子2代にわたり秘書を務めてきた側近中の側近である。後援会など3団体の収支報告書を作成、提出する立場にあった。

 この問題では「小渕優子後援会」など関係する4政治団体の収支報告書で、地元の支援者らが参加した観劇会の支出が収入を大幅に上回っていたことなどが判明している。

 なぜ収支に食い違いが出たのか、参加者は実費を払ったのかなど誰もが抱く疑問への説明がないまま強制捜査となった。

 「政治とカネ」をめぐって、うんざりするくらい繰り返されてきた光景である。

 元秘書が「町政の混乱を招く」と突然、町長を辞めたのも不可解だし、「私自身分からないことが多すぎる」と発言した小渕氏も無責任である。

 報告書に虚偽の記載をしていたのならば政治資金規正法違反、実費の一部を肩代わりしたのであれば有権者への利益供与を禁じた公職選挙法に抵触する恐れがある。小渕氏自身の監督責任が問われるのは言うまでもない

 事実関係を徹底的に追及し明らかにしてほしい。

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 小渕氏と法相だった松島みどり氏が辞任した後も、安倍政権の閣僚の不祥事が続いている。

 小渕氏の後任となった宮沢洋一経産相は、SMバーへの政治活動費支出や外国人献金問題が発覚した。

 宮沢経産相は記者会見でSMバーへは「秘書が行った。私は一切行ったことがない」と釈明したが、行ったかどうかを問うているのではない。問題は「交際費」として政治資金の中にまぎれこんでいたという事実である。

 さらに望月義夫環境相は会合費などを賀詞交歓会の支出と偽って政治資金収支報告書に記載していた。有村治子女性活躍担当相は脱税企業から献金を受けていたことが問題になった。

 安倍一強体制の下、「政治とカネ」の問題につながる、古い自民党の体質が顔を出し始めているのではないかと懸念する。  

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 地検の強制捜査があった当日、衆院予算委員会では「政治とカネ」をめぐり与野党が批判合戦を繰り広げた。

 収支報告書の記載漏れが浮上した民主党の枝野幸男幹事長の問題が応酬に火を付け、泥仕合の様相さえ見せた。

 「政治とカネに引きずられ国会が進まない」という声もある。政治の遅滞は許されないが、だからといって十分な説明もないまま疑惑にふたをすることも許されない。

 政治資金がどう使われているのか、透明性を確保するのが収支報告書である。うやむやに終わらせれば、政治不信がさらに広がる。