探しても見つからず、生産中止かとすっかり諦めていた飲料に、今春ほぼ2年ぶりに感激の対面をした。JAおきなわが販売するシークヮーサーのドリンクだ

 ▼「劇的酸っぱい カラダがシャキ!」という商品コピーから察せられようか。小瓶には完熟前の果実を皮ごと搾った強い酸味と、苦みも残る北部産100%果汁が詰められている。またとない味に、一口で病みつきになった

 ▼台風の影響による原料不足で一時販売をやめていたと聞き、夏中は那覇市内の民家の庭に、青い果実でたわわになった木を何本も見てにんまりしていた。それもつかの間、大宜味村では大量廃棄の危機にあるという

 ▼県内最大産地である村の生産量は、昨年の2千トンを上回る2500~3千トンに達する見込み。2年連続の豊作で、果汁を保管する冷凍庫の空きが見つからなかったらしい

 ▼台風銀座の沖縄では、しばしば「農業はばくち」と形容される。小さな果実はことしの台風を乗り越え、農家などは10年近く前の全国的なブーム後の落ち込みにも耐えてきた。こんな仕打ちはないと思っていたら、支援の動きが出始めている

 ▼実りの秋で、店頭には県外果物の“新もの”が所狭しと並んでいるのに、地物は廃棄の憂き目にもさらされる。不安定な道を歩んできた個性際立つかんきつの将来が気にかかる。(与那嶺一枝)