初めての移民から1世紀以上。ウチナーンチュ初の州知事誕生に、米ハワイの沖縄県人は沸いた。デービッド・イゲさん(57)の当選を祝う会場で「沖縄との関係をより良いものに」と口々に語った。イゲさんの祖父は西原町出身。地元では親戚が仏壇に快挙を報告し、県内の交流団体も祝賀会を開いた。

イゲさんの曽祖父らをまつったトートーメーに当選を報告する伊芸繁さん(中央)ら=5日、西原町与那城

イゲさんの勝利に祝杯を挙げて喜ぶ沖縄ハワイ協会の高山朝光会長(前列中央)ら=那覇市真嘉比

イゲさんの曽祖父らをまつったトートーメーに当選を報告する伊芸繁さん(中央)ら=5日、西原町与那城 イゲさんの勝利に祝杯を挙げて喜ぶ沖縄ハワイ協会の高山朝光会長(前列中央)ら=那覇市真嘉比

■祝賀会 県系ら祝う

 【米ハワイ=知花愛実通信員】支持者約500人が集まった祝賀会場、ホノルル市の日本文化センターで、県系人の笑い声がはじけた。イゲさん本人も姿を見せ「家族をはじめ、みんなのサポートがあってこその結果」と感謝した。

 会場に駆け付けたWUB(世界ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)創設者のロバート仲宗根さん。「ハワイと沖縄の関係をより良いものにしてほしい」と期待し、2016年に見込まれる次回の世界のウチナーンチュ大会で「(沖縄に)来てもらえたら」と話した。

 ハワイ沖縄連合会の島袋クリス守会長は「イゲさんはとても親しみやすい雰囲気を持っている。ハワイの人々のために頑張ってくれるだろう」と歓迎した。

 会場にはイゲさんの兄弟リチャードさんの姿も。「デービッドは分析力があり、常に問題解決を考えている」と語った。知事経験者で、イゲさんを支援したジョージ・アリヨシさんは「彼の長所はハワイの人々のために働いていること。日系コミュニティーだけでなく、ほかの団体からも強力な支持を受けた」と振り返った。

■「ぜひ沖縄へ」ラブコール 西原の親類

 【西原】「たいしたもんだ!」-。西原町与那城に住む、イゲさんの親類はハワイ知事当選に驚きの声を上げ、沖縄戦をくぐり抜けたトートーメーに巻きずしと天ぷらを供えて報告した。

 伊芸繁さん(62)は、デービッドさんの存在を母の千代さん(享年80)から聞いていた。父の與光(よこう)さん(享年57)が書き残した家系図によると、繁さんの祖父とデービッドさんの祖父はきょうだいとみられるという。

 約60年前、デービッドさんの祖父は移民先のハワイから町与那城へ「最初で最後の里帰り」をした。約40年前には、伊芸(イゲ)・マーシャル・馨さんというハワイ州下院議員(当時)が与那城を訪問。トートーメーで自身のルーツを確かめ、感激して帰ったという。

 今、繁さんの妻の妹夫婦がハワイに住む。デービッドさんの当選でまた一つ、ハワイとの縁が深まった。

 繁さんは「自分の親世代はハワイに旅行なんて行けない時代。だからおふくろは『あっちにデービッドという人がいる』としか言えなかったんだはず」とおもんぱかり「ウチナーンチュ大会の時は、ぜひ来て」。まだ見ぬデービッドさんに、一族そろってラブコールを送った。

■交流の深まりを期待 ハワイ協会関係者ら喜ぶ

 県系人の拠点施設「ハワイ沖縄プラザ」の建設募金推進本部が置かれている那覇市真嘉比の事務所には5日夕、沖縄ハワイ協会の関係者らが続々と集まった。イゲさん当選に祝杯を挙げて喜び、今後の沖縄とハワイとの提携に期待を寄せた。

 昨年からハワイ州知事選を注視している同協会の高山朝光会長(79)は、イゲさんの選挙事務所の友人から電話で当確の連絡を受けたと言い「県民と世界のウチナーンチュの大きな喜びだ」と声を弾ませた。

 来年は県とハワイ州の姉妹提携から30年の節目。「このタイミングでのイゲさんの勝利は大きい。沖縄との交流がより盛んになり、提携関係も強くなるのでは」と期待した。

 「ハワイ沖縄プラザ」建設募金推進本部の事務総長を務める宜野座朝美さん(74)も「今後の募金運動にも弾みがつくのではないか」と話し、来年8月の着工へ意気込みを見せた。