政府は折に触れ「沖縄の基地負担軽減」を強調するが、実態はどうだろう。戦後70年を控え、沖縄は日米の新基地建設が同時進行する、かつてない局面を迎えている。

 米軍普天間飛行場の移設に向けた名護市辺野古の代替基地建設のほか、米軍北部訓練場の部分返還に伴う東村高江のヘリコプター着陸帯建設、さらには八重山諸島の与那国島で、陸自沿岸監視部隊を受け入れる駐屯地建設が進む。

 米軍基地はあくまで県内にとどめる一方、自衛隊の南西シフトと、米軍施設・区域での自衛隊による共同使用の推進が着実に図られている。

 中国の海洋進出を見据え、沖縄は日米の軍事拠点としての役割を固定・強化されつつあるように映る。

 辺野古移設について、菅義偉官房長官は9月10日の記者会見で「この問題は過去のもの」だと決めつけたが、県民の認識は全く異なる。

 知事選告示を前に沖縄タイムスと琉球放送が先月実施した世論調査で、投票する際、一番重視する政策は「経済の活性化」(29%)を上回り、「基地問題」が39・7%で最も多かった。昨年12月の仲井真弘多知事の辺野古埋め立て承認に反対する回答は61・9%を占め、普天間飛行場の移設先に「県外・国外」を選択した人は76%に上った。

 高江ではオスプレイ配備に伴う負担増への強い懸念が指摘され、与那国では自衛隊配備の是非を問う住民投票に向けた手続きが進んでいる。

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 最大の争点である辺野古移設については、各候補者で明確に見解が分かれている。

 下地幹郎氏は県民投票の実施、喜納昌吉氏は埋め立て承認の取り消し、翁長雄志氏は反対、仲井真氏は容認をそれぞれ唱えている。

 下地氏は、知事就任後6カ月以内に県民投票を実施し、「賛成」の結果が出れば「推進」、「反対」の結果であれば「中止・撤回」と主張。

 喜納氏は、埋め立て承認は公有水面埋立法の環境保全への配慮に違反しており、行政法に基づき速やかに知事職権で取り消す、との立場だ。

 翁長氏は普天間の閉鎖・撤去と県内移設断念、オスプレイ配備撤回を求め「あらゆる手法を駆使して辺野古に新基地は造らせない」と唱える。

 仲井真氏は、辺野古移設と県が求める普天間の5年以内の運用停止は、普天間の危険性除去を図る上で現実的かつ具体的な解決策と訴える。

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 自衛隊と米軍の役割分担などを定めたガイドラインの中間報告は「周辺事態」の概念を削除し、地理的な歯止めをなくして日米の防衛協力を拡大する方針を打ち出した。

 国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法は12月10日の施行が迫る。

 これらの先にあるのは、米国と一体となった「戦争のできる国」への転換である。

 各候補者には、政府の安全保障政策の流れを見据え、沖縄が紛争に備えた「砦(とりで)」になるのではなく、東アジアの平和交流に積極貢献する施策の提示と実現が求められる。