松井久子監督の新作「何を怖れる」の試写を見た。老いゆく夫婦を描く「ユキエ」や認知症と介護をテーマにした「折り梅」など話題作を手掛けた監督によるドキュメンタリー映画

 ▼9月初上映で、キャッチコピーは「個人的なことは、政治的である」。1970年代の日本のウーマンリブを先導した女性たちが、リブ運動に身を投じた理由と40年後の今を語る

 ▼率直な語りからは、社会を席巻した運動のきっかけが、それぞれ身近な問題(ぐるりのこと)にあったと分かる。県内からは強姦(ごうかん)救援センター沖縄代表で、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さんが出演

 ▼センター発足は、米兵による女性暴行事件がきっかけと明かしている。逮捕後、処分を受けることなく米兵が帰国した事件は連日報道された。一方、女性は性被害に対する無理解に苦しみ告訴を取り下げた

 ▼「もし被害にあったすべての女性が声をあげることができたなら、沖縄の基地はとっくに無くなっているはず」と高里さんは言う。県内では、米軍がらみの事件事故に無関係という住民は一人もいない。交通事故でさえ解決は容易でない(8日付27面)

 ▼かつての女性たちが気づいた、ぐるりのこと。解決方法は、今を自分らしく生きる彼女たちの姿に隠されているのかもしれない。(黒島美奈子)