【浦添】「中弦(なかじる)、ちょっとぐゎー高いよ。下げて、下げて。オッケー」。県内各地で三線を教えるアメリカ人がいる。古典教師、民謡師範のバイロン・城武瑞(ジョーンズ)さん(45)=那覇市。県出身でも県系人でもない自称“むる外国人”だ。民謡「童神」の英語版やクリスマスバージョンを作って古謝美佐子さんと親交を深めるなど、フットワークの軽さで自分を磨き約15年になる。(平島夏実)

毎週木曜日に集まる(右から)バイロン・城武瑞さん、金城保子さん、糸数和子さん=浦添市大平の金城さん宅

バイロン・城武瑞さん

毎週木曜日に集まる(右から)バイロン・城武瑞さん、金城保子さん、糸数和子さん=浦添市大平の金城さん宅 バイロン・城武瑞さん

 父は海兵隊員、母は教師。米国バージニア州の軍病院で生まれ、16歳で沖縄に来た。友人に誘われてエイサーを見に行き「なんか面白い楽器」を発見。そのままゲート通りの三線屋に飛び込んだ。

 「レンタルなんてないよ」

 思いがけない現実にショックを受けたまま、米本国で1年間の大学生活を送った。

 「やっぱり沖縄に戻ろう」

 三線を諦めきれない自分と向き合い、友人知人を頼って稽古場をあちこち回った。

 「三線って古典と民謡に分かれているの?」「かぎやで風って太鼓も琴も一緒なんだ。え、踊りまで付くの?」

 新発見の嵐。沖縄市のキャンパスレコードで「ビセカツ(備瀬善勝)さん」おすすめの民謡カセットを買いあさった。喜納昌吉&チャンプルーズのライブに週5回通い、喜納昌永さんや田場盛信さん、我如古より子さんのほか、照屋林賢さんの母とも交流した。

 自身は、アフリカ系アメリカ人。基地の中にいても外に出ても、目立つ外見だと感じている。ジョーンズという姓は、かつて先祖が奴隷制度下で主人にもらったものだという。

 「自分の先祖がどこの国の何という民族なのか。どんな言葉を話していたのか。南北戦争(1861~65年)より前のことは調べきれない」

 それだけに、沖縄が心底うらやましいと話す。「方言札とかもあったでしょ。それでもこれだけ言葉や行事を守ってきて、同じマイノリティーとしてすごいよ」

 今は、野村流音楽協会の銘苅盛隆師範の弟子として各地で三線を教えている。市大平の金城保子さん(58)は、電話口で調弦(ちんだみ)を手伝ってもらうほど慕っている。

 「オペラのネッスン・ドルマ(『誰も寝てはならぬ』)って分かる? 歌詞が安波節と似ていると思うのよ。今度工工四(くんくんしー)にして録音しようかな」。まだまだアイデアが眠っている。問い合わせはジョーンズさん、電話090(3796)8425(日本語可)。