戦後70年近く、沖縄の人々は幾度となく政治に翻弄(ほんろう)され、歴史の岐路に立たされてきた。

 例えば1956年の島ぐるみ闘争。軍事政策を優先し住民生活を無視した米民政府に、民衆が立ち上がった。68年に実施された主席公選は、自治権拡大闘争の末、勝ち取ったものだ。米軍支配に抗(あらが)う闘いは、72年の日本復帰へとつながっていく。

 復帰後12回目となる県知事選の投開票日を迎えた。

 主席公選以降、保守対革新で争われてきた構図が崩れた、かつてない選挙である。

 主席公選の高揚感を思い出したという年配の人がいた。基地か経済かで激しくぶつかった98年知事選以来の熱気という人も。どのような結果になっても、沖縄が進む方向と政治の枠組みに重大な影響を与えることは間違いない。

 立候補しているのは、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏、前民主党県連代表の喜納昌吉氏、前那覇市長の翁長雄志氏、現職の仲井真弘多氏。

 いうまでもなく最大の争点は、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題である。

 長く動かない問題を前に「選挙で変わるはずがない」と背を向けている人もいるかもしれない。でもそれは違う。

 県外移設、軍民共用、暫定ヘリポート、県内移設…、歴代知事の対応を細かく検証していくと、時々の政策や具体的アプローチが日米の取り組みに影響し、状況に変化をもたらしてきたことが分かる。

 誰をリーダーにするかで辺野古問題は変わるのだ。      ■    ■

 前回の知事選と様子が変わったのは「基地問題」を重視する県民が増えたことである。「経済」から「基地」へと関心が逆転している。県民の心の奥底で起きている変化の正体が何なのか、選挙結果が明らかにしてくれるだろう。

 争点であり、関心が高い辺野古移設について候補者の主張をおさらいしたい。

 下地氏は県民投票を実施して結果に従うとする。喜納氏は埋め立て承認を取り消して撤回すると訴える。翁長氏は新基地は造らせないとし反対を主張している。仲井真氏は普天間の危険性除去が重要だとし容認の姿勢だ。

 現職が勝てば辺野古の埋め立てを承認した行為が民意によって認められたことになり、埋め立て工事にお墨付きを与える。それ以外の候補者が当選すれば状況は変わる。

 主張の違いは明らかであり、選挙で民意を示したい。

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 投票率が低下傾向にあることが懸念される。前回知事選は60%で、とりわけ若い世代の低さが目立った。今回の選挙では無党派層の増加が顕著だ。公明、民主党の自主投票が投票率にどう作用するのかも気になるところである 

 知事選を前に、菅義偉官房長官が辺野古移設は「過去の問題」と発言したことを思い起こしたい。

 新しい基地は10年後、50年後の沖縄の未来に影響する。将来世代をも拘束する計画なのだ。過去を振り返り、現在を直視し、未来を切り開く一票を投じよう。