琉球舞踊の雑踊、浜千鳥(ちじゅやー)は人気演目として広く親しまれる。歌詞は旅の者が浜で草の葉を枕に野宿する中で故郷の家族やいとしい人に思いを募らせる内容だ

▼作者は浜を駆け回るチドリに心情を重ねたのだろうか。「チジュヤーや浜居てぃチュイチュイナー」のフレーズが哀感を醸し出す

▼沖縄の自然が沖縄の文化を育んできた。サンゴ礁とイノーに囲まれ、渡り鳥の中継・越冬地という自然条件が「浜千鳥節」を生んだ。シギやチドリが戯れる海辺がなかったら、先人がその情景を歌に詠むこともなかったかもしれない

▼知事選で翁長雄志さんが辺野古新基地建設反対を掲げて圧勝した。海を埋め立てての基地建設の強行に対し、県民は明確に「ノー」の意思を突き付けた

▼沖縄は全国屈指の埋め立て推進県だ。1972年の復帰後、約27平方キロが埋め立てられた。自然の海岸は復帰時には全体の90%だったが、現在は70%以下。本土と比べ4倍速で激減している

▼沖縄野鳥の会によると干潟消失の影響で沖縄で見られる代表的なチドリ科の渡り鳥、ムナグロの数は年々減っているという。チジュヤーが消えた島で「チュイチュイナー」と踊り、歌い継いでいけるだろうか。翁長新知事には辺野古の海だけにとどまらず、沖縄の自然環境全体を次世代に残す施策を期待したい。(田嶋正雄)