歌を聴くのも、たまにマイクを持つのも好きだが、学生時代によく聴いた曲や歌手ばかりで、新曲はさっぱり頭に入らない。「懐メロ」と笑われても仕方なし。親しんだメロディーや歌詞はずっと心に残る

▼喜び、悲しみ、いとしさや苦しさ。さまざまな場面で人は歌を口ずさむ。恋や友情などテーマも多様だが、最近は「闘い」の歌をよく聴く。多くは1960、70年代の民衆運動の象徴歌。筆者にはなじみの薄い「新曲」だ

▼人種差別撤廃を訴えた公民権運動で歌われ、ベトナム戦争の反戦歌にもなった「ウィ・シャル・オーバーカム」もその一つ。「我らは勝つ/いつの日か/心深く/私は信じる」。名護市辺野古の米軍基地ゲート前で連日、声が響く

▼風雨の中、炎天の下で新基地建設は許さぬと訴える人々を鼓舞、時には風刺の効いた替え歌やオリジナル曲も飛び出す。集会の締めは大抵、唐船ドーイの替え歌「たっぴらかさな」

▼テンポの良い曲に乗せ「わったーが新基地を止めるぞ たっぴらかさな(やっつけよう)」と奮い立つ。屈しそうな心を支え、信じ抜くには、怒りや涙だけでなく歌や笑顔も大切だと気づく

▼歌詞に込められた民意は、ついに山を動かした。新しい沖縄の一ページが始まる。難所はまだ続くが、「闘い」が「喜び」の歌に変わる日を待ちたい。(儀間多美子)