翁長雄志氏が12月10日に知事に就任する。基地問題はもとより、経済や雇用、格差や貧困の問題-。沖縄の抱えるさまざまな課題と向き合い、より良い社会をどう構築していくのか。県政のかじ取りを担う新知事の手腕が問われることになる。

 県経済は、主力の観光がけん引し、堅調に推移している。観光客数は、2013年度に過去最高の658万人を記録。ことし10月も前年同期比7・9%増の伸びを示した。

 一方、長年の課題である雇用についても改善傾向が見られる。完全失業率は、全国に比べ依然として高い水準にはあるが、11年から3年連続で改善した。有効求人倍率は9月が0・75倍となり、復帰以降の最高値を4カ月連続で更新した。

 指標で見る限り、明るい傾向にあるといえる。半面、雇用形態が不安定な非正規雇用が広がっている。雇用者全体に占める非正規の割合は12年に沖縄が約44%と全国で最も高い。沖縄の非正規率は拡大している。

 労働環境の改善は、待ったなしの課題である。低賃金や労働条件の悪さは、高い離職率の要因となる。十分な職業能力を身に付ける機会を失うことは、県経済全体の労働生産性の低下を招きかねない。

 翁長氏は雇用政策で、完全失業率の全国平均化、非正規率の全国ワースト改善、教職員の正規率の全国並みの実現、労働環境実態調査を踏まえた離職者対策、雇用のミスマッチ改善などで雇用の質の改善を目指すとしている。

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 不安定な雇用は、貧困の問題とも結びつく。厚生労働省によると、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」が12年時点で16・3%と過去最悪を更新した。ひとり親世帯の割合が多い沖縄では、さらに厳しい状況に置かれていることが推測される。

 家庭の経済状況によって児童生徒の学習意欲や進学が阻害されることがあってはならない。貧困が次の世代に繰り返される「貧困の連鎖」を断ち切るためにも、急を要する政策課題である。

 翁長氏は、子どもの貧困対策として今後、「子ども貧困対策計画」を策定するとしている。教育については、大学進学率を高めるための給付型奨学金や中高一貫校の設置などによる人材育成を図るとしている。

 これらは知事選では基地問題に隠れてあまり議論がなされなかったが、将来の沖縄にかかわる重要な問題である。

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 改正沖縄振興特別措置法は、子どもの貧困対策や子育て支援に取り組む「子育て支援」条項を盛り込んだ。

 それまで沖縄振興は、公共事業による社会資本整備や産業振興に重点を置いてきたが、時代の要請に応えるために不可欠という判断だ。

 だが、子どもを取り巻く環境が十分に改善されたといえず、むしろ深刻化している。将来の沖縄社会を見据えると、経済振興と並ぶ重要な政策課題である。翁長氏には、地道に粘り強く取り組んでもらいたい。