朝晩の風を冷たく感じる季節になった。日ごとに夕暮れが早まっていく。あかね色に染まる千切れ雲を見上げ、秋の深まりを実感する

▼遠くシベリアや中国、朝鮮半島などの繁殖地で夏を過ごした渡り鳥はこの時季、一斉に南を目指す。海に点々と浮かぶ琉球弧の島々は重要な中継地であり、越冬地でもある。羽を休めた後、台湾や東南アジアに向かってさらに旅を続ける鳥もいれば、そこにとどまって春を待つ鳥もいる

▼豊見城市与根の「三角池」と呼ばれる遊水池は、県内有数の水鳥の観察場所。周囲わずか490メートルの湿地に今年も多くの群れがやって来た

▼白い羽にしゃもじのようなくちばしのクロツラヘラサギがひときわ目を引く。つぶらな瞳が愛らしいシギ・チドリの仲間や、活発に水辺を泳ぎ回るガン・カモの仲間などもバードウオッチャーを楽しませている

▼沖縄野鳥の会によると、県内の渡り鳥の飛来数は近年、減少傾向だという。埋め立てによる干潟消失、農地改良による湿地減少などの影響が考えられる。山城正邦会長は「特に離島の内陸湿地はほとんど残されていない」と嘆く

▼野鳥の姿やさえずりに心を和ませる人は多いはずだ。失ってから存在の大きさに気付いても取り返しがつかない。島々の未来のために、身近に野生生物がいる環境を残していきたい。(田嶋正雄)