親しみやすい絵で、主人公の元銀行員男性を中心に老人施設や入所者の人模様が描かれている。県グループホーム連絡会がうるま市民芸術劇場で上映したアニメーション「しわ」

▼スペインでつくられた映画。主人公が認知症ということが最大の特徴だろうか。物語の中心人物には感情移入しやすい。症状が進行するのはつらく、物の名前が分からない時の困った感じも納得できた

▼登場人物の若い日のエピソードは、長い人生を歩んだ重みを感じさせる。症状の進んだ人が、周囲の声掛けを理解し、かすかな微笑を返す場面も

▼約30年前、身近にいた人を「もう何も分かってない」と思っていた己をふり返ると胸が痛い。正しい知識があれば、もっと違うことをしてあげられたのではないか。悔やまれる

▼講座で正しい知識を身に付け、認知症の人や家族を応援する「認知症サポーター」が、9月末現在、県内では人口比で全国より1・62ポイント低い2・34%で全国最低。少しずつ取り組みは広がっているが、まだまだ

▼65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症か予備軍。誰でも認知症は、身近にあるはず。周囲が、偏見なく正しく理解することが、症状の悪化を防ぎ、落ち着いて地域で暮らすことにつながるという。人間としての誇りを守るためにも、まずは知ることから始めたい。(安里真己)