選挙区間の「1票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選について、最高裁大法廷は「違憲状態」と判断した。

 「違憲」判決を見送ったのは、国会が限られた期間で不平等を解消できなかったのはやむを得ないとの判断からだ。原告側が求めていた選挙無効の請求も退けた。

 厳しい司法判断ではあるが、物足りなさは否めない。

 一方で、大法廷の裁判官15人のうち4人が「違憲」と判断した。

 しかも、4人のうちの一人、内閣法制局長官も務めた裁判官は、参院選訴訟の最高裁裁判官で初めて選挙無効にまで言及した。「投票価値の平等は絶対的な基準として真っ先に守られるべきだ」との指摘は極めて重い。

 司法が突き付けた警告を国会は深刻に受け止め、抜本改革を急ぐべきだ。

 参院は、3年ごとに半数を改選する仕組みだ。有権者が少ない選挙区にも最低2議席が配分されるため、格差が縮まりにくい。こうした特有の事情を考慮し、司法は1票の格差について衆院より一定程度の譲歩をみせてきた。

 だが、最高裁は、判決のたびに格差是正を求める姿勢を強めている。

 最大格差が4・86倍だった2007年選挙をめぐる判決では、合憲と判断しながらも「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と言及した。

 10年選挙(最大格差5・00倍)については12年10月、「著しい不平等」を指摘し違憲状態と判断。都道府県単位の現行区割りの見直しを強く迫った。

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 これに対し、立法府はどう対応してきたのか。

 昨年の参院選は「4増4減」という急場の定数振り替えでしのいだ。格差是正にはほど遠い。前回の判決後、隣接選挙区を統合する「合区」案も浮上したが、与野党協議会は迷走の上、仕切り直しとなった。先行きは不透明だ。

 今回、最高裁が違憲判断を見送ったことで、国会には安堵(あんど)感も漂っているようだ。だが、間違えないでもらいたい。16年選挙までに抜本改革すると改正公選法に盛り込んだ点を重視した、猶予判決に他ならない。

 判決で「違憲・有効」とした3人の裁判官も「制度の仕組み自体を見直す真摯(しんし)な取り組みがないまま期間が経過することは、国会の裁量権の限界を超えている」などと厳しく批判している。2年後の選挙までこのまま放置すれば、違憲となるのは確実だと認識すべきだ。

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 地方の過疎化と都市部への人口集中が進む中、抜本改革の制度設計は容易ではない。

 有権者が少ない隣接選挙区同士を一つにし、削減分を都市部に回せば数字合わせは可能だろう。だが、人口の少ない地域の民意が、国政で軽んじられることにつながってはならない。

 間近に選挙が控えた衆院も、同様に司法から格差是正を求められながら放置したままだ。

 各党は、抜本改革へどう道筋をつけるか、選挙戦を通して示してほしい。