名護市辺野古の新基地建設に向けた埋め立て工事で、沖縄防衛局が県に提出した設計概要の変更申請について、仲井真弘多知事が12月9日までの任期中に承認する意向を自民党関係者に伝えていたことが分かった。

 唖然(あぜん)とするほかない。16日の知事選で仲井真氏は、新基地建設に反対する翁長雄志氏に10万票近い大差で敗れたばかりである。辺野古移設の是非が最大の争点となった知事選で、1月の名護市長選に続いて「埋め立て承認・辺野古移設反対」の民意が明確に示されたのである。

 仲井真氏は落選の弁で「実感として納得していない」と述べたが、謙虚に敗北を認めなければならない。10万票差の意味を真摯(しんし)に受け止め、変更承認の可否を翁長次期知事に委ねるべきだ。

 沖縄防衛局は9月に「美謝川の水路切り替えルートの変更」を含む4件の工事変更申請を県に提出。そのうち当初計画より暗渠(あんきょ)(地下水路)が約4倍に延びる「美謝川」について県は、「生物への影響が大きい」と指摘。審査は長期間を要し、次期県政に先送りされる公算が大きかった。

 しかし、防衛局は27日、環境保全の観点から問題の多い「美謝川」の変更申請を取り下げた。残り3件の承認を先行して取り付けることが狙いだ。県の審査が円滑に進めば仲井真氏の任期中に承認の可否を判断する環境が整う。

 そうなったとしても、選挙で敗れ退任する仲井真氏に県政の重要課題を判断する資格があるのか。到底、多くの県民は納得しないだろう。

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 そもそも仲井真氏は、今回の知事選が、自らの政治姿勢に対する信任投票の性格を帯びていたことをしっかりと認識すべきである。

 昨年末、仲井真氏は県外移設の公約に反して、埋め立てを承認した。県議会や関係機関・団体への事前説明もなくほとんど独断で承認したのである。

 仲井真氏の県政運営には二つの際だった特徴がある。「政府と事を構えない」という政治信条が一つ。もう一つは独断的なトップダウン型の行政手法だ。自ら官邸とひそかに接触を重ね、シナリオを練ったとみられる昨年末の一連の「埋め立て承認劇」は、この二つの特徴を併せ持った県民不在の決定だった。

 県政の重要課題の判断経緯があまりにも不透明だったことが県民の不信を招いた。埋め立て変更申請を「駆け込み承認」すれば、県民に背を向けることになる。潔く、重要課題を次期県政に委ねるのが筋である。

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 来月10日に知事に就任する翁長氏は、埋め立て変更申請について「権限は新しい知事に任せる方が沖縄の未来、将来にふさわしい」と述べ、判断を自身に委ねるよう求めている。

 仲井真氏が承認することになれば、2期8年で築いた知事としての功績を自ら台無しにするだけでなく、沖縄の政治史の一大汚点となる。

 昨年の埋め立て承認に続き民意に背くことになれば、再び県民の大きな怒りと反発を招くことになるだろう。