ハンセン病を理由に社会から「隔離」され、生きてきた人たちがいる。精神障がいを理由に病院へ「隔離」され、人生の大半を過ごす人も少なくない。

 精神障がいとハンセン病について語る集いが29日、名護市の国立療養所沖縄愛楽園であった。

 一見、異なって見える二つの問題だが、たどってきた歴史には重なる部分が多い。

 ハンセン病は感染力が弱く、戦後早い時期に薬により治る病気になった。それなのに国の強制隔離は、1996年にらい予防法が廃止されるまで続いた。2001年、元患者らが提訴した国家賠償訴訟で、隔離政策は違憲だとし断罪されている。 

 一方、精神障がい者施策で今大きな問題になっているのが、精神科病棟の一部を居住施設に転換するという構想だ。今年7月、厚生労働省は長期入院患者の退院を促すとの目的で、病院敷地内にグループホームなどをつくり住まわせることを認める方針を示した。

 当事者団体を中心に「精神障がい者の隔離が続くだけ」と強い反対運動が起きている。

 第1部のシンポジウムに出席した弁護士の八尋光秀さんは「人生被害」という言葉を使い、「二つの問題は全然違うが、隔離によって人権を侵害し、人生を奪うということでは同じだ」と語った。

 隔離が生むのは偏見や差別である。特定の病により社会から排除するという歴史を繰り返してはならない。

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 シンポジウムで精神科医の伊藤哲寬さんは「患者の4割が強制入院」と、日本の精神医療の問題点に触れた。 

 厚労省の推計によると精神疾患で病院に入院している患者は全国に約32万人。「長期」と位置づけられる1年以上が約20万人、うち約6万5千人は10年以上も病院で暮らす。経済協力開発機構の各国と比較しても、病床の多さと入院の長さは異様なまでに突出している。

 「脱施設化」が遅れる日本にあって、伊藤さんが紹介した北海道十勝地方の実践には目を開かされた。

 住宅やグループホーム、デイケア、交流の場などを整備することで、病床を全国平均の半分に減らしたという。

 何よりも地域の人々の理解が広まったとの報告は、長期入院患者が地域に戻って治療を受けながら生活できることを実証するものだった。

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 国が精神障がい者の「地域移行」に取り組んで10年がたつ。現状は遅々として進まない。だからといって「病院の敷地内に退院させる」のはおかしな話である。必要なのはベッドではなく、地域生活の受け皿となる社会的資源と、それを支える人的資源だ。

 ハンセン病の「隔離」を猛省した私たちだからこそ、精神障がい者の「隔離」という目の前の問題を放っておくわけにはいかない。

 集いの決議文にある「互いに尊重しあう共生社会で生きることこそが、人として回復できる唯一の方法」との言葉は、社会の側がしっかりと受け止めるべきだ。