戸籍法が定める「常用平易な文字」に含まれず、人名使用が認められていなかった「琉」の字が17年前の12月3日、使えるようになった。長男の名前にと望んだ那覇市の両親が、出生届を受理しなかった市の処分を不服として那覇家裁に申し立てたことがきっかけで、司法判断で追加された人名用漢字としては全国の先駆けだった。

 「琉」君の両親が「命名権は憲法上保障されている」「『琉球』がルビなしで教科書に使われており、『琉』は常用平易な文字」などと主張し、不服を申し立てたのは1997年7月。当時の親泊康晴那覇市長は受理しなかった一方で、自ら会長を務める県戸籍住民基本台帳事務協議会で、法務省に「琉」の漢字追加を働き掛けていくことを決議。理由として「ウチナーンチュとしてのアイデンティティーが一層確立する」ことなどを挙げた。

 国会でも取り上げられた「琉」をめぐる命名問題は同年12月3日、法務省が戸籍法施行規則を改正して決着した。本紙で「沖縄復帰後史」を連載したボーダーインク編集者の新城和博さん(51)は「その後も続く権利獲得の突破口を開いた意味で、一つのエポックだった」と話す。同省によると、「琉」を皮切りに「曽、獅、瀧、祷」などが裁判所の決定後、人名用漢字に認められ、間もなく9例目の「巫」が加わる。

 那覇市の當間司さん(39)、葉子さん(39)夫妻は「沖縄を大事にする子に育ってほしい」と、授かった1男2女に葉琉(はる)君(9)、琉愛(るあ)ちゃん(6)、琉恋(るこ)ちゃん(3)と名付けた。最近、サッカーと水泳に夢中の葉琉君は「名前、気に入っているよ」と照れ笑いを浮かべた。

 明治安田生命保険(本社・東京)が1日発表したことし生まれた赤ちゃんの名前ランキングでは、男の子に人気の漢字で8位にランクインした「琉」。今や全国区で「琉」ちゃんが続々と産声を上げている。(新垣綾子)