1日、日本記者クラブで開かれた党首討論会。集団的自衛権の行使容認をめぐり、自民、公明両党の解釈のずれがあらためて明らかになった。

 意見が割れたのはタンカーが通過する中東ペルシャ湾のホルムズ海峡で、自衛隊が機雷を除去できるか、どうか。

 公明党の山口那津男代表は「経済的利益が損なわれるだけでは駄目だ。戦禍がわが国に及ぶ蓋然(がいぜん)性や国民が被る犠牲が重大だと簡単には言いにくい」と慎重に判断する。

 自民党総裁の安倍晋三首相は「ホルムズ海峡の封鎖は、油の価格が暴騰することを考えなければいけない。経済的なパニックが起こる可能性が世界的にある」との見方だった。

 7月、安倍政権は従来の憲法解釈を変更し、自国が攻撃を受けていなくても他国への攻撃を実力で阻止する集団的自衛権の行使を容認する決定をした。「明白な危険」がある場合などとする武力行使の新3要件も盛り込んだ。

 山口代表は経済的苦境というこのケースが3要件に当てはまるのか、と疑問を呈した。安倍首相は可能だとの解釈である。

 戦後日本の安全保障政策の大転換でありながら、与党内の足並みさえそろっていない。

 そもそも、この問題で国会論議は尽くされていない。行使要件も不明瞭で、解釈も人それぞれ。国民にはさっぱりである。

 武力行使が際限なく広がるという不安が払拭(ふっしょく)されないまま選挙戦に突入した。

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 衆院選公示の2日、安倍首相は福島県から遊説をスタートさせた。注目された第一声は経済政策や震災復興。あれだけ力を注いだ集団的自衛権の行使容認には触れなかった。

 そればかりか、今回の自民党政権公約に「集団的自衛権」の文字はない。「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を整備」とあるだけだ。

 昨年末、安倍政権がなりふり構わず数の力で強行採決を繰り返し成立させた特定秘密保護法も、2年前の衆院選で前面に掲げることはなかった。反発の強い政策はできるだけ問わないでおこうという戦術にも見える。

 衆院選前に菅義偉官房長官は、二つの問題は「争点にならない」との認識を示した。民意を軽んずるやり方は、沖縄の基地問題でとった政権の威圧的な態度とよく似ている。

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 憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認は、憲法が国家権力を縛る「立憲主義」の根幹を揺るがす。「戦争の放棄」をうたった憲法9条の規範力を否定する。

 国家安全保障会議の設置、武器輸出三原則の撤廃、ガイドライン改定に向けた取り組みなど、第2次安倍内閣の一連の防衛政策を見ていると、抑止力が高まるどころか、戦争の垣根がだんだん低くなっていくようで心配になる。

 沖縄にとって安全保障の問題は、生活に影響を及ぼす身近で現実的な問題である。

 堂々と論陣を張るべきだ。