「拝啓ジョン・レノン/あなたがこの世から去り随分たちますが/まだまだ世界は暴力にあふれ/平和ではありません」。ロックバンドの真心ブラザーズが1996年に発表した曲はこんな歌い出しで始まる

▼「夢想家」「ばかな平和主義者」「現実見てない人」などの歌詞が故人を冒涜(ぼうとく)しているとの理由から一部で放送禁止になったいわく付きの曲。だが一聴すれば作者の敬愛の念がじわりと伝わる

▼きょう8日は元ビートルズ、ジョン・レノンの命日。ニューヨークで狂信的ファンとされる男に射殺されてから34年が過ぎた。「拝啓-」と歌われた年から数えても18年。今も世界は平和ではない

▼師走のラジオからは彼の代表曲「イマジン」や「ハッピークリスマス(戦争は終わった)」がよく流れる。年の瀬の慌ただしさの中、穏やかなメロディーと平和を願う歌詞が心に染みる

▼あからさまな憎悪で他者をののしるヘイトスピーチがまかり通る時代。ジョンとオノ・ヨーコさんが「愛と平和」を唱えた70年代よりも状況は厳しさを増しているが、それでも希望はあると信じたい

▼先日、那覇市の街角で若者が「イマジン」を弾き語りしていた。足を止める人もいなかったが、メッセージは確かに歌い継がれている。冬の夜空に吸い込まれる平和の歌。心強く感じながら歌詞を口ずさんだ。(田嶋正雄)