きょう翁長雄志氏が知事に就任する。

 屋良朝苗氏から数えて復帰後7人目。1998年から4期16年続いた保守県政に代わり、保革を超えた新たな枠組みで誕生した県政の船出である。

 「新基地ノー」の圧倒的民意の中で生まれた知事だけに、高揚感をもって就任を見詰める人が多い。これまでとは違った沖縄が切り開かれる、という期待感の表れだ。

 新知事を支える副知事には、県議の浦崎唯昭氏、那覇市議会議長の安慶田光男氏が起用される。両氏は最近まで自民党に所属していた政治家である。

 歴代知事は副知事の1人に実務に精通した行政経験者を充てることが多かった。今回は政治経験が豊富で知事の信頼が厚い政治家で脇を固める。基地問題という政治的課題に力点を置いた布陣ということだろう。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を最大の争点とした知事選で翁長氏が強く訴えたのは、50年、100年もの間、子や孫の世代に基地被害を押し付けることはできないとし、「あらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地は造らせない」だった。

 早速、仲井真弘多前知事が承認した辺野古の埋め立ての経緯を検証し、「取り消し」や「撤回」を模索する。

 最終的には国との裁判闘争も視野に入れるが、最高裁で敗れれば政府にお墨付きを与えることになる。就任早々、次から次へと難しい判断が押し寄せてくる。

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 突破口はある。

 対日政策に詳しいジョセフ・ナイ元米国防次官補(ハーバード大教授)が朝日新聞の取材に答え、「中国の弾道ミサイル能力向上に伴い、固定化された基地の脆弱(ぜいじゃく)性を考える必要が出てきた」と指摘。米軍基地が沖縄に集中することのリスクについて語っている。さらにナイ氏は「沖縄の人々が辺野古を支持しないなら我々は再考しなければならない」とも述べている。(12月8日付同紙朝刊)

 翁長知事は米ワシントンに専門家を駐在させ、自身も早い時期に訪米する考えである。対日政策に影響力のある人物の踏み込んだ発言を米国内部の変化と捉え、適切に対応した方がいい。

 先の知事選では仲井真氏の民意を無視した独断専行の手法も強く批判された。

 翁長知事に望むのは、仲井真氏とは逆に、有権者と真正面から向き合い、説明責任を尽くしていくことである。

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 間もなく始まる県議会12月定例会では、古巣の自民党を野党に回しての論戦となる。翁長知事を誕生させた与党も寄り合い所帯だけに議会との丁寧な調整が欠かせない。

 前県政とは違う翁長カラーをどう発揮していくか。基地問題だけでなく、子どもの貧困など暮らしの課題も車の両輪として取り組むべきだ。

 「オール沖縄」の名に恥じないよう、選挙で対立した経済界などとの関係修復も含め支持層を広げていくことで、新しい政治のスタイルをつくりあげてほしい。