南海の追い風を受け、翁長雄志丸がきょう、東京の荒波を見据えて出港する。前職の民主主義を否定するかのような振る舞いの後だけに、満を持しての船出だ

▼翁長氏(64)は故西銘順治知事以来、24年ぶりの政治家出身である。那覇市議から県議、自民党県連の中枢を担って那覇市長、知事に上り詰めた。元自民から共産までを束ねられる度量の深さも、西銘氏以来かもしれない

▼両脇も政治家出身で固める。翁長氏を支援するために県議でただ1人、自民を離党した浦崎唯昭氏(71)と、知事選の立役者で那覇市議会議長の安慶田光男氏(66)だ。無難な航海を目指すなら県庁OBを起用したはずだが、しーじゃ(年上)の盟友を立てた論功行賞人事と見られかねない選択である

▼翁長氏は1期目の市長時代に、いったんは故親泊康晴革新市政下の幹部職員を外郭団体に追いやったが、2年ほどで次々と要職に戻した。“敵”も懐に取り込んで信頼関係を築き、能力を発揮させた

▼こうした政治力、人心掌握術が、副知事人事をめぐって革新系から不満が漏れて来ない、いわれなのだろう

▼東京の海は、3氏が勝手知ったる古巣の政権とはいえ、新基地建設をめぐる態度は鉄壁だ。ちょうど1年前に知事が失った政治への信頼を、論功行賞人事とは言わせない政治を、4年間で見せてほしい。(与那嶺一枝)