翁長雄志知事は10日午前、県庁1階の就任式で県職員らを前に演説した。名護市辺野古の新基地建設など基地問題に全体の35%を割き、解決に向けた意欲を示した。県が策定した沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン」の施策にも触れ、経済振興や県民福祉の向上に取り組む決意やしまくとぅばへの思いも見せた。ある県幹部は「前知事との違いは“辺野古”の1点のみ」と感じ取った。

就任式で職員に訓示する翁長雄志知事(右)=10日午前、県庁

就任式で職員に訓示する翁長雄志知事(右)=10日午前、県庁

 県職員と初対面。大きな拍手の中で壇上に登ると「ハイサイ」と声を掛け、18分30秒の演説を始めた。

 戦後70年を迎える節目の就任。基地問題では今もなお米軍専用施設面積の74%が集中する現状に「私も保守の人間だが、大変理不尽。許されるものではない」と語気を強めた。

 政治家一家に育ち、「自分で持ってきたわけではない基地」をはさんで県民同士がいがみ合う姿を見てきた。「基地問題を解決しなければ、21世紀に羽ばたくことができない」

 昨年12月の仲井真弘多前知事の辺野古沿岸の埋め立て承認には「あたかも振興策と引き換えたようで、県民の誇りを傷つけた」と批判した。

 米国施政権下の貧しい時代でも、自分たちの土地を売らずに守ったことが基地問題の原点と強調。埋め立てられた辺野古の土地は沖縄の自己決定権が及ばない国有地になるため、「沖縄は今後50年、100年と安保の真ん中に置かれる」と危惧し、埋め立て承認の取り消し、撤回を視野に取り組む姿勢をにじませた。

 経済問題にも全体の28・8%を費やし、基地経済からの脱却、自然と歴史、伝統文化などソフトパワーを生かした経済振興を取り上げた。しまくとぅばの普及にも力を込めた。

 演説を聞いて、県幹部は「市長時代から関わる21世紀ビジョンに詳しい」と好感触。普天間問題で政府と意見が異なっても「沖縄振興は基地とリンクせず、法律上の影響はない。あからさまな減額はないと思う」と楽観視した。

 別の幹部は「公約を実際の施策に落とす具体的な指示がほしかった。抑揚はなかった」と選挙の延長線との見方。辺野古問題に関わる幹部は「全体的にふわっとした印象。考えを読みにくい」とぼやいた。