本紙くらし面で2012年から2年間続いた連載を収録した「沖縄-社会を拓いた女たち」(沖縄タイムス社)が10日出版された。女性問題に詳しい市民運動家とジャーナリスト2氏による執筆

 ▼登場するのはさまざまな分野で活躍した/している女性32人。彼女たちに共通するのは最も弱い者に寄り添う姿だ。その一人、冒頭で紹介されている中村文さん=享年(99)=は盲教育に尽力した

 ▼周囲の偏見からわが子の障がいをひた隠しにする家庭を訪ね、子どもたちへの教育の必要性を説く。足元の実践から得られた成果は、よりよい社会の実現に女性の視点が欠かせないことを示している

 ▼同じ10日、那覇市で開かれたシンポジウムに沖縄戦の教訓を語り継ぐ元白梅学徒の中山きくさん(86)が登壇した。圧倒的多数を男性が占める政治によって戦争のできる国へと準備が整うことに「戦前も今も、男はよっぽど戦が好きなようだ」

 ▼そんな危機感から出た言葉に、戦後も女性の社会進出が進まない日本や沖縄の課題が重なった。男性だけが実権を握る「おとこ社会」は、性別としての男性による社会というだけでなく、寄り添う視点と対極にある社会をつくり出す

 ▼そうした課題を打開できるのは「おんな」の視点に違いない。女性たちの実践や言葉にそんなことを感じた。(黒島美奈子)