「なぜ、今解散か」。そんな疑問が拭えないまま、衆院選が終わった。結果は、自民、公明の圧勝だった。

 与党で定数の3分の2を超える議席を獲得し、自民党の「1強体制」の構図は変わらなかった。

 今回の全国の投票率は52・66%で2012年の前回選挙をさらに下回り、戦後最低を更新した。沖縄も前回を3・66ポイント下回る52・36%で、70年の国政参加以降、最低となった。国政を左右する最も重要な選挙であるにもかかわらず有権者の約半数しか投票していないのである。

 自民党の全国の小選挙区の得票率は約48%で、約76%の議席占有率を獲得した。民意を正確に反映しない小選挙区制の弊害が、今回もあらわになったのだ。

 県内では4選挙区とも米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する「建白書」勢力が制した。選挙区で敗れた自民党4人と維新の1人は比例区で復活当選。その結果、選挙区に出馬した9人が全員当選した。今回のケースに限っては選挙制度とはいえ釈然としないものが残る。

 安倍晋三首相の「不意打ち解散」にも疑問が残る。解散権については「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は不当である」(芦部信喜『憲法第三版』)というのが有力な学説だ。

 一体何のための解散だったのだろうか。自民党はほぼ公示前と同じ勢力だ。

 投票行動を通して国政に有権者の意思を反映させる代議制民主主義が危機にひんしているといっていい状況だ。

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 選挙戦で安倍首相は、本来なら有権者に信を問うべき多くの重要な政策課題について争点化を避けた。

 集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の是非、国民の知る権利の侵害に重大な懸念がある特定秘密保護法、憲法改正などだ。これらの問題が正面から語られず、ほとんど素通りされてしまった。

 ところが安倍首相は、選挙結果が出た14日夜、テレビ番組などに出演し、集団的自衛権については衆院選で行使容認に国民の理解が得られたとの認識を示した。

 憲法改正にも「国民に改正の必要性を訴えていきたい」と意欲をみせた。公示前の党首討論で「残念ながら憲法改正の機運は盛り上がっていない」と、慎重だったのが一変した。

 選挙で「安倍政治」のすべてが信任されたわけではない。白紙委任と思ったら大きな誤りだ。国民の不安や疑問に応えなければならない。

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 県内の選挙区選挙の結果で、1月の名護市長選、11月の知事選に続き3度、辺野古移設に反対する明確な民意が示された。

 にもかかわらず、安倍首相は「説明をしっかりしながら進めていきたい」と、移設作業を当初方針通り進める姿勢を示した。

 知事と選挙区の国会議員が反対する中で移設を強行するなら、日本の民主主義そのものが問われる。選挙区で敗れ、比例区で復活当選した5人も、辺野古移設反対の民意を踏まえて対応すべきである。