那覇から西に約100キロ。隆起サンゴに囲まれた久米島町は、「はての浜」「イーフビーチ」に代表される自然や伝統工芸の久米島紬、海洋深層水の恵みを受けた多彩な産業が特徴だ。人口は約8300人、年間約8万7千人の観光客が訪れる久米島で、地域活性化や商品開発の新たな取り組みが行われている。(南部報道部・天久仁)

「久米モビ」の拠点となったバーデハウス内に設置された管制センター=7日、久米島町奥武島

 7日、町奥武島で世界初となる、衛星を使った自動走行自動車「ロボットモビリティー」の実証実験が行われた。同島のスパ施設バーデハウス内に設置された管制センターが、準天頂衛星を通して得た位置情報を「ロボットカー」に送信。運転者のいない車が島民らを乗せ、約200メートルの距離を自動走行した。

 「久米モビ」と呼ばれる同プロジェクトは町とNEC、デンソーが連携。2018年までの実験期間、自動車の走行距離を広げ、実用化へ向けた準備を行う。大田治雄町長は「久米島の可能性を試す大きなチャンス」と今後の進展に期待を寄せる。町では最先端のロボットカー技術の実証実験の場として、町を広くアピールする意図もある。

 準天頂衛星の障害物測定の誤差は10センチ単位で精度が高い。役場プロジェクト推進室の幸地和史主任は「他のどこにもない、鉄軌道が道路を走るようなイメージです」と「オンリーワン」を強調する。路線バスのない久米島では町営バスが通学や高齢者らの主な移動手段となっている。「実現すれば、免許を持っていない人や交通弱者が利用する新たな公共交通機関として活用できる」と想定する。

 島の人口は1955年国勢調査時の1万7千人をピークに減少が続いており、95年には1万人を割った。特に若い世代の流出は深刻だ。

 久米島商工会の嘉手苅一会長(66)は「人口の減少は経済の根幹を揺るがす」と心配する一方、「産業をきちんと構築すれば雇用が増えて人が定住する」との持論を持つ。

 商工会では今年も沖縄本島や仙台、熊本市などの大型店で開かれた物産展に地元の特産品を出店し、島の産業をアピールしてきた。「若い世代が新しい商品開発に意欲を見せている。既存の販売ルートやデザインでは限界がある。島から発信することが大事なのです」と力を込めた。

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 沖縄タイムスふるさと元気応援企画「久米島の観光・物産と芸能フェア」(主催・久米島商工会、久米島町、沖縄タイムス社)が19~21の3日間、那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる。期間中、町の特産品の展示や販売を行うほか、20日には芸能フェスティバルが開かれる。問い合わせは沖縄タイムス社、電話098(860)3000。