県知事選と衆院選沖縄選挙区で米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する陣営が完勝したことは、衝撃波となって各方面に広がった。早くも局面打開を模索する新しい動きが表面化している。

 翁長雄志新知事は、就任後初めての県議会で「辺野古に新基地を造らせないということを私の県政運営の柱にしていく」と語った。

 現行案に対してこれほど明確に拒否の姿勢を示した知事はいない。沖縄選挙区で当選した4人の議員が国会で知事を支える。この構図ができたのも初めてだ。

 安倍晋三首相や沖縄基地負担軽減担当相を兼務する菅義偉官房長官は衆院選期間中、一度も沖縄に入らなかった。9月の所信表明で「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」といいながら、選挙応援にも入れなかったのである。

 共同通信社が衆院選後の15、16両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、辺野古移設について「計画をいったん停止」と答えた人が35・0%、「白紙に戻す」が28・7%だった。

 移設賛成が反対を大きく上回っていた昨年12月の調査に比べ、世論に変化が生じていることがうかがえる。

 対日政策に影響力を持つジョセフ・ナイ元米国防次官補は今月初め、朝日新聞の取材に答え、次のように語っている。

 「沖縄の人々が辺野古への移設を支持するなら私も支持するが、支持しないなら我々は再考しなければならない」(8日付朝日新聞)。この踏み込んだ発言が、知事選後だという点に注目したい。

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 米国は民意に敏感である。普段、民主主義の大切さを説いているだけでなく、敵意に囲まれた基地は機能しない、ということを経験で知っているからだ。

 ナイ氏は、中国の弾道ミサイル能力が向上したことで沖縄の基地がぜい弱になり、基地を沖縄に集中させることがリスクになりつつある、との見方を示したという。

 東アジアの安全保障環境も沖縄の民意も全国世論も、大きく変わってきているのである。

 選挙で翁長陣営と争った県議会野党も、初心に帰ってこの変化に正面から向き合ってもらいたい。

 この期に及んで辺野古移設を強硬に進めようとすれば、民意の猛反発は避けられず、島ぐるみの反対運動に発展するのは確実だ。辺野古埋め立てを強行するよりも計画を見直すほうが、普天間の危険性除去は早まる。

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 仲井真弘多前知事が、埋め立て承認以前に、何度も強調していたのは、そういうことである。

 問題をリセットする時がきた。

 政府が「普天間の固定化」という脅し文句を使うのなら、自民党の国会議員や自民党県連は、堂々と反論すべきである。そういう役人は「無能」であり「一種の堕落」だ、と。仲井真前知事がそう言って反論した時期があったことを県民は忘れていない。

 県議会と県民が結束して政府にあたることが大切だ。