民意が反映されない政治に「本土」は、どれだけ危機感を抱いているのだろうか。

 共同通信社が衆院選を受け15、16両日に実施した全国電話世論調査の結果を見て、そんな懸念も拭えない。

 集団的自衛権の行使容認など安倍政権の安保政策について「支持しない」が55・1%を占め、「支持する」の33・6%を大きく上回った。

 こうした傾向は衆院選前から浮かんでいた。憲法解釈変更により、集団的自衛権行使容認の閣議決定に踏み込んだ強引さや、安全保障などに関わる機密漏洩(ろうえい)の厳罰化を図る特定秘密保護法の性急な制定をめぐっては、各社の全国世論調査でほぼ一様に否定的な世論が多数を占めてきた。

 にもかかわらず、こうした民意は今回の衆院選の結果に反映されたとは言い難い。なぜそうなるのか。

 政権が最大の争点に「経済政策」を挙げたことに引きずられた面や、受け皿となる野党の不在も要因だろう。

 だがこれは沖縄も同じだ。沖縄では4選挙区すべてで野党候補が自公候補を制した。現政権に対する本土と沖縄の民意のギャップは、普天間問題に対する温度差だけによるのだろうか。

 安保政策全般に対する本土側の関心の低さも起因していないか。衆院選前の11月28、29両日に実施された共同通信社の全国調査で、衆院選の投票で最も重視する課題に「安全保障や外交」を挙げた人は3・3%だった。安保政策を政府や専門家任せにする「お任せ主義」に陥っているのが実情ではないか。

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 沖縄で基地や安保政策が選挙の争点になるのは、命や暮らしに直結する問題だという実感が住民にあるからだ。

 県民は、政府が都合の悪い情報を隠す傾向にあることも肌で知っている。普天間飛行場へのオスプレイ配備をめぐって、米側が配備計画を明るみにした後も日本政府は「正式に聞いていない」とはぐらかし続けたのがいい例だ。

 本土では、米軍基地は一部地域に押し込められている。自衛隊も「災害派遣」の側面が強調されがちだ。軍事に関することは、市民の日常からは縁遠いものと受け止められているのではないか。

 従来通り沖縄に基地の大半を押し込め、米側に差し出しておけば大丈夫だという認識ではもう通用しない。ひたすら「日米同盟の強化」を請い続け、自衛隊が米軍と一体化して活動範囲を広げるのは、本当に「国民の安心」につながるのか。

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 香港デモに参加した学生は「誰でも立候補できる日本並みの選挙制度がほしい」と訴えた。だが、投票行動を通じて主体的に政治に関わる意識が、国民に浸透していなければ本物の民主主義国とはいえない。

 沖縄は苛烈な米軍統治下で「民主主義」や「人権」「平和憲法」を請い続け、日本に復帰した。しかし今、復帰して裏切られたとの思いを抱く県民もいる。それは日本本土に民主主義の核が根付いていないからではないか。沖縄からはこの国の危うさが見える。本土側にその自覚はあるか。