氷水を頭からかぶり話題となった「アイス・バケツ・チャレンジ」は、筋肉がやせてだんだんと体が動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を支援する活動だった。

 ALSのように患者が少なく、発病の仕組みが不明で、治療法が定まらず、長期の療養を必要とする病気を「難病」と呼んでいる。

 現在、難病に指定され医療費助成の対象となっているのは56の病気だが、来年以降、その数が拡大する。国の難病対策が抜本的に変わるのだ。

 約40年前に始まった医療費助成は、法律に基づかない研究事業として続けられてきた。しかし支援の範囲や内容は十分とはいえず、今年5月、助成対象を拡大する「難病法」が成立した。法制化されたことで財源確保と対策の充実に期待が集まる。

 難病法により対象疾患は56から約300に、患者数は約78万人から150万人に増える。県内では8300人余りから1万5千人程度に増加する見込みだ。

 新しく加わった疾患には手足の先から筋力が衰えていく遠位型ミオパチーなどがあり、300疾患のうち110疾患については、年明けから助成が開始される。

 対象者の拡大は朗報だが、同時に重症度分類がなされ、軽症者は助成を受けられなくなる。入院時の食費も自己負担に変わる。既に助成を受けている人の中には負担増となる人が多い。

 法施行後、低所得者への配慮など生活実態を見極めた上で対応を見直す柔軟さも必要である。

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 難病法の意義は、法制定に患者団体が積極的に関わったことにもある。

 当事者が参加してつくった基本理念には「難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す」と書かれている。

 18日、那覇市内で講演した日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事は「医療や研究だけの法律ではない」と強調した。

 法律には医療の推進や治療法の調査研究とともに「就労支援」がうたわれている。就労や社会参加は患者の生き方につながる重要な課題である。

 難病の重症筋無力症を患い、患者の立場から発言を続ける伊藤さんは「全ての患者・家族にとって住み慣れたところで専門医療を受けられることが理想だ」とする。

 「生活者」として地域で支えていく取り組みを機能させたい。

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 難病法の施行は1月1日。

 助成を希望する場合、保健所窓口での申請手続きが必要となる。

 法施行までの期間が短く、助成対象となる指定難病が告示されてからまだ2カ月しかたっていない。行政機関には、患者が困らないよう制度の周知を徹底してもらいたい。

 難病対策のスタートラインである。まれな病気とはいえ、患者数は150万人を超えている。難病であっても充実した人生が送れるよう、対策を育てていくことが次のステップだ。