那覇市・ひめゆり通りから壺屋のやちむん通りを抜けると、外資系大手のホテル建設現場に突き当たる

▼そびえ立つ高層ビルを正面に見て、右手の坂を上ると古くからの飲食街の桜坂、左手には平和通りや市場が広がる。国内外からの投資が続く那覇市の中心市街地を象徴する光景である

▼数年前にあった沖縄振興をテーマにしたシンポジウムで、評論家の堺屋太一さんが観光を取り上げ、観光客にとっての非日常と住民にとっての日常をどう折り合いを付けるかが重要であるという趣旨の話をしていた

▼ホテルなどの建設計画は那覇だけではなく、沖縄全体の経済を活性化する。その一方で、本土やアジアのどこにでもある街に生まれ変わりはしないかと心配する。何十億、何百億円の資金がつぎ込まれるたびに、沖縄が“脱色”されるような感覚にとらわれている

▼翁長県政はカジノを含む統合型リゾートの導入検討を中止する。カジノ導入に反対する翁長雄志知事は「自然、文化、伝統などの沖縄のソフトパワーにけん引される好調な観光産業に影響を及ぼしかねない」としている

▼変貌を遂げつつある今、沖縄らしさとは何かを突き詰めた上での観光振興、街づくりの洗い直しが必要ではないか。多額の資金をかけた開発だけが先行し独自の魅力を失ってしまえば、元も子もない。(与那原良彦)