沖縄タイムス社は2014年の県内十大ニュースを選定した。今年は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非を問う選挙が相次ぎ、1月の稲嶺進名護市長の再選に続き、11月には反対する翁長雄志知事が誕生。年末の衆院選でも四つの選挙区すべてで「辺野古ノー」を掲げた候補が当選し、県民の意思が明確になった1年だった。示された民意にもかかわらず、政府は辺野古への移設作業を強行。辺野古のゲート前では市民らの抗議活動が今なお続く、異常な状態だ。国際通りの「顔」だった百貨店・沖縄三越の閉店を多くの県民が惜しんだ。スポーツでは、興南高ハンドボール部が全国3冠を達成し、空手形の喜友名諒は世界選手権初制覇で県民に勇気を与えた。

【1位】当選確実を決め、カチャーシーを踊る翁長雄志氏(左)と稲嶺進名護市長(手前)=11月16日午後8時32分、那覇市壺川の選挙事務所

【2位】辺野古の海上に設置されたスパット台船。立ち入り禁止にするため周りをフロートで囲い、支柱の根元までネットを張り巡らせた=8月17日午後6時7分、名護市辺野古沖

【3位】沖縄三越の閉店式典には多くの人が詰め掛けた=9月21日午後7時49分、那覇市牧志

【4位】渡嘉敷村阿波連ビーチ沖に広がるエダサンゴ=3月4日

【5位】長崎国体で優勝し、選抜、総体と3冠を達成した興南=10月20日、長崎県佐世保市東部スポーツ広場体育館

【6位】造成工事が進む陸自沿岸監視部隊の駐屯予定地=11月、与那国町

【7位】サキタリ洞遺跡で出土された(上段から)人骨、貝のビーズ、貝器=2月15日、那覇市の県立博物館・美術館

【8位】竹富の地区分離を決めた県教委の会合。文科省が違法確認訴訟を見送る道を開いた=5月21日、県庁

【9位】11月の世界選手権男子個人形の初優勝に続き、全日本選手権では大会3連覇を達成した喜友名諒=12月、日本武道館(全日本空手道連盟提供)

【10位】上告が棄却され、会見で裁判の不当性を訴える原告の西山太吉氏(左)や代理人ら=7月14日、東京・霞が関の司法記者クラブ

【1位】当選確実を決め、カチャーシーを踊る翁長雄志氏(左)と稲嶺進名護市長(手前)=11月16日午後8時32分、那覇市壺川の選挙事務所
【2位】辺野古の海上に設置されたスパット台船。立ち入り禁止にするため周りをフロートで囲い、支柱の根元までネットを張り巡らせた=8月17日午後6時7分、名護市辺野古沖
【3位】沖縄三越の閉店式典には多くの人が詰め掛けた=9月21日午後7時49分、那覇市牧志
【4位】渡嘉敷村阿波連ビーチ沖に広がるエダサンゴ=3月4日
【5位】長崎国体で優勝し、選抜、総体と3冠を達成した興南=10月20日、長崎県佐世保市東部スポーツ広場体育館
【6位】造成工事が進む陸自沿岸監視部隊の駐屯予定地=11月、与那国町
【7位】サキタリ洞遺跡で出土された(上段から)人骨、貝のビーズ、貝器=2月15日、那覇市の県立博物館・美術館
【8位】竹富の地区分離を決めた県教委の会合。文科省が違法確認訴訟を見送る道を開いた=5月21日、県庁
【9位】11月の世界選手権男子個人形の初優勝に続き、全日本選手権では大会3連覇を達成した喜友名諒=12月、日本武道館(全日本空手道連盟提供)
【10位】上告が棄却され、会見で裁判の不当性を訴える原告の西山太吉氏(左)や代理人ら=7月14日、東京・霞が関の司法記者クラブ

<1> 翁長新知事が誕生 移設反対候補 相次いで勝利

 県内の大型選挙で、普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する候補が相次いで勝利し、「建白書」勢力が躍進した年になった。名護市長選を皮切りに、名護市議選、知事選・県議補選、衆院選で建白書勢力が5連勝し、民意が明確に示された。

 1月の名護市長選は新基地建設に反対する現職の稲嶺進氏と、辺野古移設を容認する新人の末松文信氏の一騎打ちに。自民党本部は末松氏を全面支援し、石破茂幹事長が500億円の「名護振興基金構想」を突如打ち出すなどてこ入れしたが、稲嶺氏が4千票以上の大差で再選を果たした。

 知事選は新基地建設に向けた建設工事に伴う、辺野古海域の埋め立てを承認した現職の仲井真弘多氏に、辺野古移設反対を掲げた那覇市長の翁長雄志氏が挑戦した。

 翁長氏選対は社民、社大、共産の革新政党に加え、保守系那覇市議団の大半と、過去に仲井真氏を支援した複数の大手企業グループも参加。「保革を超えた結集」を訴え、現職に約10万票の大差をつけて初当選した。同日投開票の県議補選も、当選者3人のうち反辺野古候補が2人を占めた。

 12月の衆院選は、沖縄の4選挙区で反辺野古候補が全勝。1区では共産の赤嶺政賢氏が当選し、共産にとって18年ぶりの小選挙区での議席獲得となった。

 一方、全国で大勝した自公は県内選挙区で全敗となり、辺野古移設反対の民意を強烈に印象づけた。

<2> 政府、移設作業を強行

 米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設は、海上作業の開始で新たな段階に入った。沖縄防衛局は調査、設計を進め、来春以降に本格的な埋め立て工事に着手する。1月の名護市長選、9月の同市議選、11月の知事選、12月の衆院選で示された「辺野古ノー」の民意を踏みにじるような強行に、県内では反発が高まっている。

 昨年12月の仲井真弘多前知事の埋め立て承認を受け、防衛局は7月、キャンプ・シュワブ内の兵舎などの解体工事を始め、普天間飛行場代替施設建設事業が動きだした。

 8月にはシュワブ沿岸で海底ボーリング調査に着手した。政府は常時立ち入り禁止海域を拡大した上で、シュワブ内の海岸に海保のゴムボートが利用する浮桟橋を設置。全国から集まった巡視船が厳重に警戒する中、施工区域を明示するブイやフロートを取り付け、8月18日に辺野古の海に初めてくいを打ち込んだ。

 反対する住民らはカヌーや船を使って、海上で抗議。海保と衝突し、けが人が出るなど緊迫した。陸ではシュワブゲート前の座り込みを続ける。辺野古での抗議集会では8月23日に3500人、9月20日に5500人が参加した。

 一方、防衛局は稲嶺進名護市長の同意や許可の必要をなくそうと、9月に埋め立て設計の変更申請4件を県に提出。知事選で落選した仲井真弘多氏が退任4日前の12月5日に2件を承認し、「ハンコの押し逃げ」と新たな反発を招いた。

<3> 沖縄三越、惜しまれ閉店

 創業57年の歴史を持つ老舗百貨店、沖縄三越が9月21日閉店した。那覇市・国際通りのシンボル的な存在だった。長く続いたデフレや郊外型の大型商業施設などに客を奪われ、経営不振が続いていた。

 閉店後の跡利用には、同じ百貨店事業を有するリウボウホールディングス(糸数剛一社長)が名乗りを上げ、新会社「リウボウ商事」を設立。店舗跡を活用してお笑いタレントのステージ「よしもと劇場」やお化け屋敷などエンターテインメント事業を柱に来年3月、新たな観光施設の開業を予定している。

<4> 慶良間諸島、国立公園に

 多彩なサンゴが生息し、ザトウクジラの繁殖地として知られる座間味、渡嘉敷両村の慶良間諸島が3月5日、国立公園に指定された。県内では「西表・石垣」に次いで2番目。分割や拡張でない新規指定は1987年以来27年ぶり。

 那覇市と両村で祝賀会が開かれ、自然環境の保護や、観光資源の節度ある利用を再確認した。

 慶良間諸島は「ケラマブルー」と呼ばれる透明度の高い海や景観が特徴。サンゴ礁が高密度に見られる水深30メートル以内の部分を海域公園地区として、重点的に保護することになった。

<5> 興南高ハンド、3冠達成

 興南高ハンドボール部が、10月の第69回国民体育大会(長崎)で頂点に立ち、3月の全国選抜大会、8月の全国高校総合体育大会と合わせ、9年ぶり2度目の高校3冠を達成した。

 興南は、選抜大会決勝で春日丘(愛知)を31-25で破って、9年ぶり5度目の優勝を飾ると、高校総体決勝でも小林秀峰(宮崎)を41-27で退け、2年連続6度目の栄冠に輝いた。

 3年ぶり4度目の優勝を目指した長崎国体では、兵庫、千葉、岡山に連勝して決勝進出。決勝では神奈川を36-33で下し、2005年以来の偉業を達成した。

<6> 与那国陸自 建設始まる

 与那国町では住民の賛否が分かれる中、陸上自衛隊沿岸監視部隊の駐屯予定地の起工式が4月に開かれた。

 反対派住民が起工式会場を取り囲み、小野寺五典防衛相(当時)に抗議の声を上げたが建設工事は着工され、造成工事が進む。

 9月の町議選では与野党同数となり、自衛隊誘致派の与党から議長を選出。議決で優位に立った野党側は11月に配備の是非を問う住民投票条例を提案、可決した。

 住民投票は来年1月にも実施予定。投票資格者などをめぐり外間守吉町長と野党側の綱引きが続いている。

<7> サキタリ洞で国内最古発見

 県立博物館・美術館(安里進館長)は2月15日、南城市玉城のサキタリ洞遺跡から国内最古(2万3千~2万年前、旧石器時代)の貝製のビーズ(装飾品)と道具が見つかったと発表した。同じ地層から人骨も見つかっており、道具と人骨が同じ時代の地層から出土し、人類の活動痕跡が確認された例としても国内最古となった。

 同館は12月11日にも、同遺跡から9千年前より古い埋葬とみられる人骨1体が発見されたと発表。埋葬と確定すればこれも国内最古となるとあって、今後の研究の進展に期待が高まっている。

<8> 竹富の教科書 分離で無償化

 教科書採択の八重山地区協議会が保守色の強い育鵬社版の中学校公民教科書を答申したことに端を発する八重山教科書問題で、県教育委員会は5月、竹富町教委を同地区から分離させた。単独地区となった竹富が来年度用の教科書として東京書籍版をあらためて採択し、国による無償措置が来年度から3年ぶりに復活することになった。

 文部科学省も違法確認訴訟見送りを決め「教育への政治介入」との疑念が持たれてきた問題に終止符が打たれた。町村単独で採択地区となれる改正教科書無償措置法が決め手となった。

<9> 空手の喜友名 世界選手権V

 空手道の喜友名諒(劉衛流龍鳳会)が世界選手権(11月・ドイツ)男子個人形で頂点に立った。2年前のパリ大会は3位で、2度目の挑戦で優勝を飾った。

 1回戦から決勝までの全6試合を全て5-0の完全勝利で制し、世界最強の称号を手にした。

 県勢の優勝は2008年東京大会の女子団体形以来3大会ぶりで、男子個人形では喜友名の師匠に当たる佐久本嗣男氏が1988年のエジプト大会を制して以来、26年ぶりの快挙となった。

 喜友名は12月の全日本選手権も3連覇した。

<10> 沖縄返還密約 文書開示せず

 沖縄返還に伴う諸費用を日本が肩代わりしたとされる日米間の密約をめぐり、元毎日新聞記者の西山太吉さんらが、国に関連文書の開示を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は7月14日、西山さんらの上告を棄却した。国に開示を命じた一審判決を取り消し、開示を命じなかった二審東京高裁判決が確定した。

 最高裁は行政が「保有していない」とする文書の存在の立証は、開示を求める市民側がしないといけないとする初めての判断を示した。密約の存在を認めた一、二審の判断は維持した。

<次点> 国内外から投資相次ぐ

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が名護市と本部町にテーマパーク建設を検討しているほか、ホテル建設のための用地取得や大手小売店も店舗を拡充するなど、好調が続く県経済を背景に県外や国外から投資が相次いだ。

 那覇市内で台湾の嘉新セメントが国際通りの国映館跡地を購入。投資ファンドが運用を目的に大型免税店のDFS Tギャラリア沖縄の土地建物を取得した。

 人口と観光客数は今後も増加する見通しで、那覇空港第2滑走路などのインフラ整備も進む中、県経済の将来性が評価されている。