沖縄を訪れる観光客数が順調に伸びている。このペースで推移すれば2014年は過去最高となり、初めて700万人の大台に乗る。県文化観光スポーツ部のまとめによると、今年1月から11月までの累計は650万7千人で、過去最高だった13年の実績をすでに上回った。12月実績を少なく見積もっても700万人を突破する見通しだ。

 背景の一つには外国人観光客の増加がある。那覇空港の新国際線ターミナルやクルーズ船ターミナルの整備に伴い就航数が大幅に増えたことや円安が追い風となった。11月単月をみても国内客が5・8%増だったのに対し、外国客は68・4%の伸びとなった。

 1人当たり消費額では外国客の単価が国内客を大きく上回っている。観光収入は伸び悩みが続いていたが、13年度は外国人客の消費額が増えたことで全体を押し上げ、前年度比12%増の4478億円と過去最高を更新した。

 言うまでもなく観光は県のリーディング産業である。観光客数の増加という好材料を収益増にどうつなげていくのか。行政や関係機関には、実効性ある戦略の構築が問われている。

 例えば、国際観光拠点として富裕層などアジアの活力を取り込む。観光客全体の約9割を占める国内客向けに、購買意欲を喚起するような魅力ある商品を開発する。

 インフラ整備などハード面はもとより、食事やおもてなし、案内表示の充実などソフト面も含めて「満足度」を高める取り組みが必要だ。

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 県は07年度から観光戦略の一環として「カジノ・エンターテインメント検討事業」を開始し、本年度は基本構想の策定を予定していた。しかしカジノ導入に反対する翁長雄志知事の就任を受け、カジノに頼らない観光行政の推進に舵(かじ)を切った。

 カジノ導入の見込みがなければ、リゾートホテル開発など沖縄への投資計画が縮小するのではないか、との見方がある。一方では、カジノ導入は、もろ刃の剣となるリスクを指摘する業界関係者の声もある。

 県内のシンクタンクが沖縄を訪れる欧米人観光客に対しアンケートしたところ「地元の人々との交流」や「沖縄らしさ」に満足しているとの回答が多かった。

 翁長知事が言う「沖縄の自然、文化、伝統などのソフトパワー」である。これを観光施策としてどう具体化していくかが、次の重要なステップとなろう。

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 県は沖縄21世紀ビジョンの実施計画で「世界水準の観光リゾート地の形成」を掲げ、21年度に観光客1千万人、観光収入1兆円を目指すとしている。

 その目的として「歴史、文化など多様で魅力ある資源を活用した独自の観光プログラムを戦略的に展開する」とうたっている。

 沖縄の観光は、将来どのような姿を目指すのか。国内の修学旅行からアジアの富裕層まで、多様なニーズに応えるプログラムを提供できる、そんな新時代の観光モデルを確立する時だ。