老朽化した歴史的建造物の改修が全国で進んでいる。「平成の大修理」と注目された栃木の日光東照宮や京都の平等院鳳凰堂。「白鷺城」の異名を取る兵庫の姫路城は、黒ずんだ漆喰(しっくい)を一新した姿が、白すぎて話題になった

 ▼これら国宝級には及ばぬが、名護市内でも人々に愛され親しまれてきた建物が現在、解体修復のため「大手術」中だ。県内最古の木造泡盛工場として国の重要文化財に指定された津嘉山酒造所

 ▼1928年に完成、地酒「國華」を造り続ける酒造所と、住居が隣り合う珍しい施設だ。古民家としても価値のある建物を守ろうと保存会も結成され、座敷やウナー(御庭)で落語やライブを開き、地域に根差してきた

 ▼すでに酒造所部分の「麹(こうじ)屋」の工事を終え住居部の「主屋」に入っているが、「解体したら、玄関を改築して一つの部屋にしていた場所もあり驚いた」と担当者。人々の生活の様子や建築当時の作業状況なども浮かんできて面白い

 ▼傷んだ材木を慎重に外し、使えるものは再利用して、限られた資料を手掛かりに復元する。家屋を支える材木をはがしていく作業は、時をさかのぼるがごとくだ

 ▼人間の営みを支え、生きてきた建物は歴史の証人。戦火による焼失を免れた、少しくたびれつつも味わいある酒屋は、人々の努力で次世代へと生き続ける。(儀間多美子)