自社の慰安婦報道を検証するため朝日新聞社が設置した第三者委員会は22日、報告書を発表した。

 同社の23日付朝刊は、報告書の要約版を7ページにわたって掲載しているほか、1面に本記と社長見解、2、3、37、38面に関連記事を載せ、さまざまな角度からこの問題を掘り下げている。

 新聞ジャーナリズムの末席に連なる者として身につまされるような扱いである。

 8月に検証記事を掲載した際、謝罪しなかったことや、池上彰さんのコラム掲載を見送ったことなどについて報告書は指摘する。

 「今回の問題の多くは、編集に経営が過剰に介入し、読者のための紙面ではなく、朝日新聞社の防衛のための紙面をつくったことに主な原因があるというべきである」

 朝日新聞社は8月5日付朝刊に検証記事を掲載し、「済州島で強制連行した」とする故・吉田清治氏の証言を虚偽と判断し、1980~90年代に16回報じた関連記事の取り消しを表明した。

 社内外から吉田証言の信ぴょう性を疑う声が寄せられていたにもかかわらず、今日まで検証が遅れてしまったのはなぜなのか。

 崩れた信頼を回復するのは容易でない。朝日は、第三者委員会の報告書をもって終わりとせず、あらためて社内の自由な討議を重ね、自前の検証を続けてほしい。

 それができるかどうかは、朝日一社の問題にとどまらず、日本の新聞ジャーナリズム全体に対する信頼にかかわるからだ。

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 朝日の検証記事が掲載されて以降、週刊誌や月刊誌などを舞台に、すさまじい朝日バッシングが続き、元朝日記者やその家族が脅迫されるという事態まで起きた。

 慰安婦問題の存在そのものを否定するような極端な議論も広がっている。

 戦争中、慰安所という自由のない環境の下で、意思に反して旧日本軍の「慰安婦」として働かされ、尊厳を傷つけられた女性たちがいたことは歴史的事実である。

 その事実を受け入れることのない内向きの議論は、国際社会に誤解のタネをまき、日本の立場をかえって不利にする。

 唯一の女性委員としてかかわった林香里・東京大学大学院情報学環教授によると、第三者委の議論では、慰安婦問題と「女性の人権」の関係については、ほとんど取り上げられなかったという。

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 林さんは、海外15紙の新聞記事を通して海外メディアの反応を調べた。国際社会では、慰安婦問題を人道主義的な「女性の人権問題」の視点から位置づけようとしていることが見てとれた-のだという。

 国内メディアと海外メディアの落差は大きい。なぜ、そういうことが起こるのか。朝日報道が国際社会に与えた影響は「限定的であった」と報告書は指摘する。

 「朝日報道」の投げかけた問題は簡単には消せないだろうが、それと「慰安婦問題」を別個の問題として切り分けて論じる必要がある。