この1年お世話になった取引先へのあいさつにと、せわしなく歩くサラリーマンの姿が街中にあふれる歳末の東京である。きょう、仕事納めとなる会社も多い

▼新明解国語辞典は『実社会』をこう説明する。「美化・様式化されたものとは違って複雑で…毎日が試練の連続と言える、きびしい社会を指す」

▼今春、就職で沖縄を離れた若い人には、勝手が分からず厳しくしかられ、試練にも歯を食いしばって耐えて、ようやく迎えた年の区切りかもしれない

▼帰ったら古里の味、実家のあの手料理を食べたい。春先に手を振り合った友とお酒を…。飛行機の座席で、楽しみに胸を膨らませる人も多いだろう。年末年始が、都会での煩いをおさめ、再始動に備える時間になるといい

▼ことしは消費増税があり、円安が大きく進んだ。財布から出ていくお金の増え方に先の不安を感じた人も多かったに違いない。景気回復の「春」の実感が待たれるこの冬である

▼沖縄では、新基地建設反対のうねりが高まった1年だった。民意を背に翁長雄志知事が上京したが、政府は面会に消極的で冷たい対応を見せた。この仕事は簡単に納められそうもない。民意をまとった棒で、分厚い「実社会」の壁をコツコツたたき、理解の穴を開けていくしかないだろう。冬来たりなば春遠からじ、と根気強く。(宮城栄作)