【与那原】沖縄戦で消滅した旧県営鉄道(軽便鉄道)の「職員証」がこのほど見つかり、遺族らが25日、軽便鉄道の資料館を来月開館する与那原町へ寄贈した。職員証には名前や生年月日が記され、裏には顔写真が貼られている。職員のめいに当たる遺族は「沖縄戦中の列車爆発事故で亡くなったおじが忘れてほしくないと思い、職員証が出てきたのでは」と話している。

「職員証」を寄贈する、(右から)真栄城美子さん、研究者の波平エリ子さん、受け取る古堅國雄与那原町長=25日、同町役場

沖縄県営鉄道の「職員証」には、名前や生年月日、住所、職種などが記されている。保護のため、ラミネート加工されている

「職員証」の裏面には、高安進さんの写真が貼られていた

「職員証」を寄贈する、(右から)真栄城美子さん、研究者の波平エリ子さん、受け取る古堅國雄与那原町長=25日、同町役場 沖縄県営鉄道の「職員証」には、名前や生年月日、住所、職種などが記されている。保護のため、ラミネート加工されている 「職員証」の裏面には、高安進さんの写真が貼られていた

 めいに当たる真栄城美子さん(60)=那覇市=が6年前、父母の遺品を整理する際に発見した。職員証は、およそ縦8センチ、幅6センチの紙製。表には「高安進」の氏名、「勤務先 沖縄縣鐵道管理所」と読める文字が記されている。

 「車輌手」だった高安さんは1944年12月、日本軍の弾薬や燃料を積んだ車両に乗車。南城市大里稲嶺付近で車両ごと爆発する大事故のため、18歳で亡くなった。体調不良の同僚に代わって乗車したという。

 真栄城さんは「母は、列車爆発事故で亡くなった弟と2人きょうだいで、よく泣いて気に掛けていた。展示で、その思いも報われるはず」と寄贈への思いを込める。

 真栄城さんの知人で、軽便鉄道を研究する大学非常勤講師の波平エリ子さんは「職員証は、県営鉄道が発行したものだろう。資料館への展示で、価値も高まる」と話す。軽便鉄道に詳しい金城功さん(81)は「軽便の職員に関わる事柄は研究されていない。展示を機に、新たな情報が出てくるとうれしい」と期待した。