多忙な時期だったとはいえ、安倍政権の対応は実につれないものだった。示し合わせたような横並び対応は、いやがらせというしかない。

 就任あいさつのため上京していた翁長雄志知事は26日、山口俊一沖縄担当相に会い、2015年度沖縄振興予算の確保について協力を求めた。

 安倍晋三首相や、沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅義偉官房長官、岸田文雄外務大臣、中谷元防衛大臣にも、あらかじめ面談を申し入れていたが、実現しなかった。

 結局、閣僚で面会ができたのは山口沖縄担当相だけで、外務省は冨田浩司北米局長、防衛省は西正典事務次官が対応した。

 菅官房長官に至っては26日の記者会見で「年内はお会いするつもりはない」とも語った。「調整がつかない」のではなくて、「お会いするつもりはない」と官邸の意思をあけすけに語ったのである。

 それを言うぐらいなら沖縄基地負担軽減担当相の肩書を外したほうがいい。

 今回の面談申し入れは、文書による正式な要請ではなく、あくまでも「就任あいさつ」が目的だった。選挙で示された民意を伝えることと、関係閣僚に礼儀を尽くす、という二つの意味が込められていた。

 しかし、安倍政権は聞く耳を持たなかった。「沖縄に寄り添う」(安倍晋三首相)と口癖のように言いながら、その程度の面談申し入れにも応じず、そればかりか、沖縄振興予算の削減までちらつかせ始めた。

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 官邸とのパイプをもたない翁長知事を念頭に、自民党のある国会議員は「敵となった側に協力する必要はない」と言い放ったという(26日付本紙)。

 立場を変えた翁長知事個人に対する反発の感情があるとしても、「敵には協力しない」という言い方は度が過ぎている。あまりにも傲慢だ。

 翁長氏は知事選で約10万票の大差で仲井真弘多氏を破った。得票数は、他の3人の候補者の得票合計を上回った。

 この中には、前回、仲井真氏に投票した人や、普段、自民党を支持している人、連立を組む公明党の支持者なども含まれている。公明党県本は今も辺野古移設に反対の立場を変えていない。

 翁長知事は、知事選や衆院選沖縄選挙区で示された民意を背負って面談を申し入れ、沖縄の声を伝えようとしたのである。会うこと自体を拒否するのは、民主主義を否定するのに等しい。

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 組閣や関連人事、予算編成など、多忙を極めていたことは確かだが、仲井真前知事に対しては多忙な時にも最大の配慮を示すことを忘れなかった。辺野古容認の暗黙の了解の下で。

 その仲井真前知事の埋め立て承認を全面的に否定したのが知事選である。沖縄の民意が何を求めているかは明確だ。

 なぜ、政府は選挙結果に謙虚に向き合おうとしないのか。「一強多弱」体制の下で安倍政権はおごりを戒め、権力行使に対してもっと抑制的であるべきだ。