年末といえば大掃除。ことし最後の日曜日のきょう、家中の掃除に追われている人も少なくないはず。1年の厄を取り払う行事「すす払い」が起源で、日本ならではの習慣らしい

▼掃除が行き届いているか否かは心身の健康のバロメーターにもなるという。本紙くらし面の連載「ごみ屋敷とよばないで」では名古屋市の1人暮らしの男性の家がごみで埋もれた理由を「孤立」と指摘する

▼県内で昨年取材した80代母親と60代息子の世帯を思い出した。冬場、近所から「異臭がする」との連絡が、ある市民団体に寄せられた。家を訪れるとチキンの骨など食べ残した弁当が散乱

▼2人は母親の年金で暮らしていたが、母親が高齢者施設に入所したのをきっかけにごみがたまり始めた。精神疾患が疑われる息子は長く引きこもっていたが、自治体の支援は母親を入所させたのにとどまった

▼市民団体が訪れた時の息子の所持金はゼロ。公園の炊き出しに並んだこともあったが1度きりだったようで、寒い時季、近所の相談がなければ衰弱していたかもしれない。ごみは彼のSOSだったともいえる

▼名古屋市の事例では男性を見守ろうとの機運が地域に生まれ、近隣と男性の人付き合いが始まると家は次第に片付いたという。ごみ屋敷の問題は地域の健全さのバロメーターでもあるようだ。(黒島美奈子)