人種問題に関して直接対話や電話、メールなどで多くの知人友人に尋ねた。白人、黒人、スペイン系、アジア系、「ミックス」。そして必ず本人たちが自称する「その他」も対象とし、私の体験も含めて考えてみたい。

 米国で大きな社会問題であり続けている人種問題。特に黒人側の「白人から受ける差別」に対するデモ行進は、今に始まったことではない。

 1964年に渡米し、サウスカロライナ州のチャールストン市郊外に住んでいた時、マーチン・ルーサー・キング牧師の団体が北部からやって来て、公民権を訴えたデモ行進は今も、印象に残る。

 現在では「白黒(白人と黒人の)問題」はさらに神経が敏感に反応する社会風潮になってしまった。白人警察官による黒人少年の射殺が相次ぐ。裁判の結果、白人は無罪。

 それは不公平だとの黒人側の反発である。今、ニューヨークでは「黒人対ポリス(公権力)」の危機的状況にまで進展している。

 アルコール依存症や仕事中毒症のように、「白黒」が事件に巻き込まれると、すぐそれを人種差別として問題提起する人たちのことを“Race aholics(人種問題中毒症)という。米国内には、オバマ大統領をはじめニューヨーク市長らが、人種問題提起の中毒者たちとする指摘がある。

 Kさんの家族は40年前、プエルトリコから米国へ移住した。白人女性と結婚し10代2人の親となった。Kさんは現在48歳。働きながら大学院に通う。妻もキャリア女性。結婚には、白人、黒人側双方から偏見を受けてきたが、年月がたつとともに自然に異人種間の結婚を認めつつあると話す。人種差別は理解しがたい罪。「子どもたちにはいかなる偏見にも備えて、健全に適応できるように教育している」と語った。

 刑務所に25年間監督者として働き、定年した黒人のウェイン・ゴーヅボロさん(63)は話す。まず、「DWB」とは黒人飲酒運転を指す。一般に使う法的用語の「DWI」(飲酒運転)をやゆした略語でいかに黒人が差別扱いをされているかがすぐわかる。

 黒人男子が14歳になると、親から教えられる伝統がある。「男子は白人住宅街を通ったり、あるいは特に年齢構わず白人女と居合わせたら絶対に視線を合わせたり疑われるような事を避けるべし」だと。後で男女共学の高校教諭の白人男性に聞いたら、「自分は65歳になるがそんな話は一度も耳にしたことはない」と話した。

 この意識の差は、いつまで続くのだろう。

 ウェインさんの妻、ゲイルさん(63)も夫と同じ勤務から25年で定年。彼女はPTSD(外傷ストレス障害)から、現在も黒人は常に悩まされていると発言。それは世代間流動の作用で、この大陸では黒人は人間としてのID(アイデンティティー)、家族、文化を強奪させられ、奴隷としての起源から始まった。祖先の過酷な歴史、苦労、特に出生から差別問題の話を子守唄みたいに聞かされ、白人からの差別が自然に身に染みている。それは直接体験しなくとも「第二PTSD」といって、間接的に影響される症状でもある。

 書いているうちに本当に米国だけの問題だろうか? という気がしてきた。かつては300年も鎖国した日本の島国根性、そして沖縄への偏見・差別などがどうしても頭から離れない。(てい子与那覇トゥーシー通信員)