失敗、いや、すっぱいは成功のもとかもしれない。そう期待したくなる光景が今、大宜味村のシークヮーサー畑にある。

農家の平良さん(後方右)とおしゃべりをしながらシークヮーサーを味わう観光客=27日、大宜味村上原

 大宜味村のシークヮーサーが2年連続の豊作で余り、一部が廃棄の危機にあると、11月1日付紙面「豊作一転 廃棄の危機」で報じた。すると、農家を支援しようと、購入や保管用冷凍庫の貸し出しを申し出る人たちが続々と現れた。

 26日、再び畑を訪ねた。先月まで緑色だった実が黄色に変わり、鈴なりのままの木がいくつもある。完熟して甘くなった「クガニー」と呼ばれるその実を、カラスがついばむ。

 支援の力及ばずか…と思っていたら、農家の平良雅己さん(62)は「これが昔の風景だよ」と教えてくれた。十数年前のシークヮーサーブームですっぱい「青切り」の需要が高まると、クガニーになる前に収穫するようになり、例年この時季にはほとんど実がないという。

 村によると、昨年のクガニーの出荷量は全体のわずか0・6%。ブーム以前はクガニーが主流で、地元では果物として味わってきた。平良さんは「甘くておいしいんだよ。クガニーをもっと食べてほしいね」と話す。村もクガニーを宣伝することで消費量の底上げを狙う考えだ。

 報道後、村への電話は県内外から100件以上。購入や収穫体験の問い合わせからレシピの提案までさまざまだった。支援の動きに後押しされ、収穫体験の企画に挑戦する農家も現れた。

 平良さんは27日、県外の観光客を初めて受け入れた。思わぬ形でもたらされた原風景の中で、観光客が収穫を楽しむ。平良さんは「大好評でよかったよ。シークヮーサーは余るけどいい宣伝になったよ」と前向きだった。(榮門琴音)