民主党の代表選が、年明けの1月18日にある。衆院選で落選した海江田万里代表の辞任に伴うものだが、野党第1党の代表選にとどまらず、今後の政治状況を左右する意味合いを帯びている。

 代表選には、岡田克也代表代行と細野豪志元幹事長が立候補を表明し、長妻昭元厚生労働相も出馬の意向を示している。

 争点は、党再生への具体的な道筋をどう示すのか、安全保障政策や経済格差の問題などで、安倍政権への対立軸を打ち出せるかだ。

 民主党は2年前の衆院選で惨敗し下野したが、有権者の党に対する失望はいまだに深く残っている。信頼を取り戻すには、政権担当能力を国民に問われた反省に立ち、党再生に努力すべきだったのに改革は進まなかった。

 今回の衆院選で民主党は、公示前より11議席多い73議席を獲得したが、伸び悩んだ。295小選挙区で擁立した候補者数は過半数に届かず、政権を奪い返す姿勢を国民に示せなかった。この2年間、選挙準備を怠ってきた執行部の責任は重い。

 選挙戦では自民党が前面に打ち出した「アベノミクス」に対抗できる具体的なビジョンが示せなかった。小選挙区で52・66%という戦後最低の投票率は、民主党が政権批判票の受け皿になれなかったことも一因ではないか。

 代表選の投票には、国会議員、地方議員、約23万人の党員・サポーターも参加する。地方遊説や公開討論会で幅広い意見を聞き、党再生につなげてもらいたい。

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 共同通信の世論調査では、集団的自衛権の行使容認など安倍政権の安全保障政策について「支持しない」が55・1%に上り、憲法改正に50・6%が反対した。

 衆院選に大勝した安倍晋三首相は、第3次安倍内閣が発足した24日、官邸での記者会見で「衆院選で国民の皆さまから力強く背中を押してもらった」と、政策実現への意欲を示した。

 今後、集団的自衛権の行使容認に伴う安全保障関連法案や原発再稼働、憲法改正など国論を二分する政策を着々と進めていくことが、念頭にあるのは間違いない。

 自民党の谷垣禎一幹事長は、政府が通常国会に安全保障関連法案を提出することに関して「来年は安保国会になる」との認識を示した。

 圧倒的な数の力を背景にした与党に対し、民主党はどう対応するのか。代表選で政策論議を深めるべきだ。

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 アベノミクスを争点として衆院選を勝利した安倍政権に、多くの国民は白紙委任したとは考えていない。世論調査では、二大政党による政権交代が実現できる状況になった方がよいと思うと答えた人が過半数を占めた。

 民主政治には、与党に対抗する政権交代可能な野党の存在が不可欠である。国政に緊張感を与える健全野党の存在を、国民は望んでいるはずだ。民主党は、代表選を機に、有権者の信頼にこたえる政治理念と政策を掲げ、安倍政権と対峙(たいじ)すべきだ。党再生はそこにかかっている。