戦後70年を迎える今年、日本は新しい安保政策の枠組みを構築する1年になる。

 自民党の谷垣禎一幹事長は昨年末の記者会見で「来年は安保国会になる」との認識を示した。政府が今年の通常国会に提出する集団的自衛権行使を踏まえた安全保障関連法案について、丁寧に審議する考えを強調したものだ。

 谷垣幹事長はさらに、「安保政策は国民が理解していないとうまくいかない。国会でしっかり議論するのを避けて通るのは愚策だ」と述べた。

 その通りである。この言葉をそのまま、県民の民意を無視して米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を強行する安倍政権にぶつけたい。

 安保国会の柱に、ぜひとも「沖縄の負担軽減」も盛り込むべきだ。

 「中国の軍事的脅威に対抗するには、沖縄の基地を強化しておけば安心だ」という認識が政府だけでなく、全国メディアや全国世論にも根強いように感じられる。

 だが、沖縄に過重な基地を押し付けるのは持続可能な安保政策ではない。とりわけ辺野古移設に反対する県民の意思は昨年の名護市長選、同市議選、知事選、県議補選(名護市区)、衆院選小選挙区の一連の選挙で明示された。

 「県内移設なき普天間の閉鎖」は県民にとって「譲れない線」である。振興予算と露骨にリンクさせつつ、「負担軽減」の名目で新基地建設を強行する欺瞞(ぎまん)は、弥縫(びほう)策としてももはや通用しない。

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 小泉純一郎氏は首相在任時の2004年10月、共同通信加盟社編集局長会議で講演した際、「沖縄以外の自治体も自分たちが(基地を)持ってもいいという責任ある対応をしてもらいたい」と要望。歴代首相で初めて在沖米軍基地の本土移転を進めていく意向を表明した。が、政治のリーダーシップは機能せず、政府は普天間返還をめぐって、辺野古移設以外の選択肢を否定するに至っている。

 公明党県本部は13年12月、普天間の県外移設を求める提言書を作成し、当時の仲井真弘多知事に提出した。この中で、「辺野古か固定化か」との政府側の論法に、「県民をおどす文句であり、沖縄に対する“差別”との見方が正しい」と訴え、「普天間を固定化させているのは政治の不作為が原因」と断じた。

 普天間の県外移設を阻む壁は政府、メディア、世論を含む「本土側の意識」に潜む。

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 米側からも沖縄の「地理的優位性」という固定観念を根底から覆す警告が発せられている。ジョセフ・ナイ元米国防次官補は「中国の弾道ミサイル能力向上に伴い、固定化された基地の脆弱(ぜいじゃく)性を考える必要が出てきた」と述べ、米軍基地が沖縄に集中するリスクに踏み込むようになった。

 安保環境の変化に国はどう対応するのか。日米の官僚に委ねるのではなく、国民的議論を喚起し、沖縄を含む安保政策の再点検を図るのが不可欠な局面だ。安保のコストを国内でどう分担し、再配置していくかが問われている。